寿命が縮んだ14歳の少年少女がベタな青春する話

■あらすじ

 テロメアの限界を超えて不老になる方法がわかり、そのための薬が普及した時代。老化をやめた人類が大半を占め、寿命という概念が消え始めた頃。


 薬の発明から約100年後、14歳前後を迎えた不老化第7世代の子ども達が急速に老化して死に始める。その後数年の間に死者数は急増。不老化した人種の子孫で、第7世代以降の子どもたちが90%を占めることから、死の原因は不老化処置による遺伝子異常にあると予想される。

 14歳以下の子どもと保護者は自分たちの将来が見えず、鬱屈した日々を送っている。自分たちをこんな身体にした第1世代への恨みと、不老を悪とする自然主義思想の過激派団体が運悪く結びついてしまう。少年兵を使ったテロが横行し、治安は最悪。不安だらけの日々。


 14歳の少年は数人しかいないガラガラの教室に通っていた。特別やりたいこともなく、ただ日々を送る。

 そんな少年に同じくただ日々を過ごしていた少女が提案をする。自分と恋人になって青春をしないかと。何もない毎日を過ごすよりはきっと楽しいよ?


 少年と少女は図書室から見つけてきた大昔の恋愛小説を参考にベタなデートを繰り返す。ショッピングに映画鑑賞、公園を巡るお散歩デートに遊園地。人に知られたら馬鹿にされそうな21世紀のレトロなデート。少女の憧れた前世紀の恋愛シーンをたどる日々。ときおりテロにニアミスしてヒヤッとしつつ、少しずつイベントをこなして行く。


 二人で作ったやりたいことリストを消化するのと、二人のどちらかがいなくなるとき、どちらが先だろう?どちらの終わりもこない幸運を祈りつつ少年少女はデートを続ける。



■登場人物

・14歳の少年

 ガラガラの教室に通う少年。

 読書が趣味。主に大昔の日常小説を読んでいる。

 両親は健在で愛されているが、自分と一緒にいると二人が悲しそうなので接触を避けている。

 親友がテロ組織の特攻要員になって死んでいる。



・14歳の少女

 ガラガラの教室に通う少女。

 読書が趣味。主に大昔の恋愛小説を読んでいる。少年とはほぼ交流がなかったが、読んでいる小説から自分と似たものを感じていた。

 両親が少女と無理心中をはかって自殺している。



・少年の親友

 昔ガラガラの教室に通っていた少年。故人。

 2つ上の恋人がいたが寿命で亡くなり(恋人は当時15歳)、第1世代への復讐のためテロ組織に加入する。テロ組織のメンバとして第3世代の住むアパートに特攻して死亡する。



■舞台(時代背景)

 テロメアの限界を超えて不老になる方法がわかり、そのための薬が普及した時代。老化をやめた人類が大半を占め、寿命という概念が消え始めた頃。小数勢力として、老化を尊ぶ自然主義者が一部残っている。


 薬の発明から100年後、14歳前後を迎えた第7世代の子ども達が大量死し始める。その後、死者数は急増。不老化した人種の子孫で、第7世代以降の子どもたちが90%を占めることから、死の原因は不老化処置にあると推定される。

 14歳以下の子どもと親は自分たちの将来が見えず、鬱屈した日々を送っている。


 年寄りが死ななくなったため、職業に追加の人員を雇う必要性が減り、世代間の貧富の格差が深刻になる。老害は死んで若者に道を開けろと主張する老害テロ組織の活動が活発になる。また、不老を悪とする過激派自然主義組織もぽつぽつ発生する。

 テロ組織が死を前にした若者を扇動し、特攻用の兵隊として使い始める。



■その他設定

・元々の発端は、2050年頃に人口ピラミッドが逆三角形になり若者の負担増が深刻化したため、子どもを増やす方法と老人を元気にして介護を楽にする研究をしていたら副産物として不老薬が開発される。

・人口増加を抑制するため、子育て政策は減退。結婚・出産は一部の人の趣味として残る。

・老害テロ組織が発足したのは2050年頃、高齢者の割合が増えすぎて生活が苦しくなった若者の間で、老人が死ねば自分たちの生活が楽になると主張し活発化する。不老薬の開発により老人は老化しなくなったため、扶養の必要はなくなったが今度は仕事が奪われることとなったため、活動はカタチを変えて続いていく。



■その他アレコレ

・元々同じ世界観でテロ組織に所属する少年少女が仲間と鉄砲玉をやるプロットを書いていたのですが、趣味に合わずボツにした結果、山なし落ちなしの死ぬまで日常をやる話になりました。

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