夢g-7
手紙を読み終えたのかマクラウドさんが近づいてくる。
「お手紙拝見しました。この街の防衛に参加され、先日はあのケルベロスをも打倒した英傑とのこと、本日は出来うる限り勉強させていただきます」
「あ、はいありがとうございます。ファルシオンからの買い替えなんですけど、なんかいいのありますか?」
「鋼製のファルシオンからの買い替えですか? 何か曲刀に思い入れでも?」
「そうじゃないんですけど、力一杯打ち込みやすい武器が気に入ってて」
「なるほど、ならば両手で使いやすい剣がいいですね」
マクラウドさんは並べられた剣を吟味しながら、一振りの剣をこちらに差し出す。
「この【バスタードソード】はいかがでしょうか? 柄が長めなので両手でも扱いやすくなっております」
差し出された剣は直刀で肉厚の両刃の剣だ。ファルシオンとは随分勝手が違いそうだが、見た目は抜群にカッコ良かった。
「随分見た目カッコイイですね」
「ありがとうございます、こちら文献にある伝説の剣【デュランダル】を模した作りになっております。刀身は全ミスリル銀製です」
なんだか分からないが無茶苦茶高そうだ。ここは素直に予算を話そう。
「随分立派な剣ですけど、予算3000オーロくらいなんです。足りませんよね」
「いえ、今回の街の防衛あってこその当店です。では3000オーロピッタリでいかがでしょう」
値札には3500と記されている。500も負けてくれるのかここ。
「ではお言葉に甘えて3000オーロで」
俺は勢いで金貨3枚を払い始めてそこで剣を握った。想像より軽い! これだけ身厚ならかなりの重さだと思ったがファルシオンより刀身は大きいが重さは変わらないくらいだ。
「こちら、鞘とベルトになります」
腰に身につけるには大きいからだろう。背中に背負う形で身につける。抜くのになれるまで大変かもしれない。いや、扱い自体も慣れるの大変だろうな。突きやすくはなったが、斬るには技術が必要そうだ。
柊も自分の武器を探している。
「すみません、格闘士の武器でなんかいいのないっすか?」
「格闘士ですとこのナックルなどは当店でのおススメとなっております」
「出来れば蹴り専用のがあればいいんすが」
「なるほど、でしたらこちらの【グロリアレガース】などいかがでしょうか。レガース自体は鋼製ですが、鋲はすべてミスリル銀製となっております」
金属製の脛あてにゴツゴツした鋲が打ってある。中々攻撃的な見た目だ。
「いいっすねそれいくらっすか?」
「そうですね、当店ではレガースだけというのもあまり売れませんので、2000オーロでいかがでしょう」
「買います!」
柊、即決だな。せっかく空手やってんだからナックルも買えばいいのに。見てると金貨2枚を払い、レガースを付け替えてる。古いレガースは道具袋行きだ。俺もファルシオンしまうか。どうせ売っても二束三文にしかならない。何かの為に残しておくのもありだろう。
「おお、結構重いけど、ピッタリじゃん。これは蹴りやすそうじゃん」
柊は大いに気に行ったようだ。多分あのレガースもかなり負けてくれたんだろう。
「最後にお嬢様ですが、生憎と当店では武器屋でして、殴る杖はございますが、魔法の補助になるものはちょっとございません」
当たり前といえば当たり前か。そっちはあてがある。
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