夢e-2
「こっちの格闘士、ユウタって言うんだけど、500オーロくらいでなんか良い防具ないかな?」
「格闘士の防具か……難しいな。ウチは基本、金属類の防具を扱ってるから格闘士用の動き易くて軽い防具はあんまりないんだよな。恐らく後ろの嬢ちゃんも防具を探してるんだろ。そうなると魔法具屋に行った方がいいかもな」
「魔法具屋か行ったこと無いな。どっかおススメある?」
「ここから裏通りに入って3軒目に【ソルティステーノ】って魔法具屋があるな。店主のリュシエンヌって婆さんは食わせモンだが品はいいらしいぜ。金次第で普通の防具にエンチャントもかけてくれるしな」
エンチャントなんてものもあるのか、しかし食わせモンとは……
「なんかヤバいことでもあるのか?」
「相手が素人だとみると吹っ掛けてくるんだよ。間違っても良いのあるか? なんて尋ねるなよ。ただのローブを200オーロでだされたなんて話も聞くくらいだからな」
なんだそのぼったくりは。そんなの商人ギルドで取り締まれよ。
「おっと、俺に聞かれてもこまるぜ。魔法具の良し悪しなんてこちとら門外漢なんでな。それに向こうは魔術師ギルドなんで。扱いも違うんだよ」
そういうもんなのか、しかしどうしたらいいものだろうか。するとニジエが口を挟む。
「あの、もしかしたら私見分けられるかもしれません」
驚いて聞いてみる。
「どうやって?」
「魔法で作った水を指先で濡らしてみるんです。ある程度のものなら水を弾くんじゃないですか?」
なるほど、魔術師ならではの発想だ。魔法に対する耐性が優秀なら、防具としても悪くないと思う。
「なら話は決まりだな。行ってこい。タツヤ、次はレギンス買いに来いよ」
フィリップ店長のアドバイスを聞き3人で裏通りに向かう。昼間から酔っ払いが道端で寝てたりするあたり、あんまり治安は良くなさそうだ。
言われた通りに進むとかすれた文字でソルティステーノと書かれた看板を見つける。入ろうとするとニジエが止めた。
「待ってください。少し妙な気がします」
何が妙なんだろう? ニジエは軽く杖を振るい辺りに打ち水のように水を撒くと、店は蜃気楼のように消えてしまった。
「なんなんだこれ? 店ねーじゃん」
柊が言う俺も同意見だ。なんで店が無いんだ? ニジエは空き地に再び水を撒く。すると空き地に立派な店が浮かび上がってきた。
「これは多分、お店に入れる資格があるかどうか試してるんですね。昨日タツヤさんに言われて自分なりに感知魔法を使えないか考えてみたんです。網は無理でも水が反応するかどうかは出来るようになりましたから」
ニジエは自分なりに工夫していたわけか。頼もしいな。しかしこんな仕掛けまでするとは店主は噂通り相当な食わせものらしい。
扉を開けて中に入る。様々な杖が何本も立てかけてあり、ローブやコートが壁際に飾られていた。しかし人の気配は無い。勝手に見てけということだろうか? すると奥から不意に声をかけられた。
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