ドS王子は隣国の国王に恋をする
太刀川千尋
第1話 始まり
ここは、砂漠地帯の国ーラビリンス帝国ー
この国は水もあり食糧もたくさんある。そんな国に、ある王子が居る。彼は一週間後に国王になる。それがこの王子、エシス。周りからはドS王子と呼ばれている。
そんな国に朝日が入る。寝静まっていた人々が目を覚ます。エシスも同じように目を覚ます。カーテンを開けて、椅子を持ってくる。彼の朝のルーティンは日光力。日の力を自身の身体にため込むようにしている。
すると、扉をノックしてくる。顔を出したのはエシスの専属召使、ハーマント。
「王子、お食事のご準備ができました。こちらで召し上がりますか?」
「あぁ、頼む」
エシスはガラスの無い窓から国を見渡す。ぞろぞろと家から人が出てくる。明るく笑顔で話をしている姿。この国は平和だと再認識する。
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「あいつは、また自室で食事か?」
現国王ーラリルスー。彼は食事を持っているメイドのラリエレに訊く。
「さようでございます」
「あいつに伝えてくれ。いつかは私たちと食事をしようと」
「かしこまりました」
ラリエレはそういうが、ほとんど聞き流す。
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「王子、お食事をお持ちいたしました。言われた通り、ヘルシーな物にしてもらいました」
「ありがとう」
エシスは椅子を机の元に戻す。
「本日のメニューはサボテン米と野菜炒め~秘伝ソース和え~、
「なるほど、いただきます」
エシスは器用に箸を使い、サボテン米を口にする。サボテン米は砂漠地帯で生成されているお米。水なんていらない。
「ラリエレ、この野菜はなんだ?」
「そちらは異国の野菜、サンペッチュという苦みが強い野菜です。しかし炒めたりすれば苦みが消え、甘みがでてとてもおいしいです」
エシスはその野菜頬張る。確かに甘みが出ており、苦みなんて少しもない。
「なかなかの味だな。流石は料理長。また一段と腕を上げたな」
「上げたのではなく、王子が大人の味が分かるようになっただけですよ」
「そうなのか?」
エシスは食事を食べ終える。デザートは海藻のゼリー。デザートはすぐに出さずに、ハーマントが持ってくる。
「王子、デザートをお持ちしました。海藻のゼリーです」
「ほーう。黄緑色をしているのか。それより、こんな貴重な海藻を食べてしまっていいのか?」
海藻は今はほとんど取れない。唯一あるとすれば海の都ースレル国ーのみ。一応あの国とは貿易をしている国である。そのおかげでこのような食材が食べれるのだ。
「これは何を使ってるんだ?」
「わかめや昆布などです。コリコリしているところはめかぶです」
「めかぶ…変わったものだな」
「はい」
そんな話をしながらエシスは食べ終える。
「王子、この後のことですが、デュクス先生が最後の授業がございます」
「わかった。テストもやるって言っていたし、ちゃんと覚えてるよ」
エシスは本棚にある一冊の本を取り出す。何の迷いもなく。
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「王子、お勉強のお時間ですよ」
「デュクス先生、今日はよろしくお願いします」
「はい、王子。本日は最後の授業でございます。ですので本日は今までやってきた授業をまとめたテストをやりたいと思います」
「わかりました」
デュクスはエシスの机に紙を置く。
「できましたら、お申し付けください」
そういうと、彼は後ろに下がる。エシスは羽ペンを取り、問題を解き始める。
「王子ももうじき国王になられますね」
「それがどうした?」
「小さな時から見てきて成長するのは早いなと思いまして」
「それだけか?なら静かにしていてくれ。集中できない」
「それは申し訳ございません」
デュクスは一礼して黙る。
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「先生、終わりました」
「早いですね、では拝見させてもらいます」
デュクスは紙を見る。
「うん、全問正解です。おめでとうございます」
「ありがとさん」
すると、扉がノックされずに勢いよく開かれる。
「報告します!陛下が!ラリルス国王陛下が!急病になり、お亡くなりになられました!」
「なんですって!」
デュクスはとても驚いている様子。突然のことで、エシスは言葉が出なくなっている。
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