世界一注文してくるベース

楓 紅葉

楽器屋

学校の放課後のチャイムが鳴る。俺は机を人差し指と中指を交互に叩いていた。先生さようならと同時に自宅に帰る。

「よ。あそぼうぜたまにはよ。」

誘ってきたのは浩介だった。

「悪い用があるから。」

「まあまあそう言いなさるな。楽器屋だぞ。」

「まじか行く。」

徒歩三十分の田舎道をひたすら歩いた先に楽器屋があった。ちょうどベースがぶっ壊れたので買い替えを考えていた。

「またお前らかい。常連さんたち。」

店主の老人がこちらにくる。

「あ、これ下取りしてもらえますか。」

「ふむふむじゃあこれ買い取るから、好きなの持って行きなさい。」

「え、いいんですか。」

「何の何のここ明日から辞めるから。持ってけ泥棒。」

「これは重いし。五弦だしな。これはなんか違う。…まいった。」

「あ爺さんこのアンプ下さい。」

「はいよ。」

浩介は手で運ぶ事が出来るアンプを買った。

うん。この赤のベースかっこいいな。……よしこれにしよう。

「しっかりと弾くんだよ。」

そう買うとき言われた。

自宅帰り部屋には引きこもり弾く。近所迷惑そんなの気にせず弾いていた。

するとだだだと階段を駆け上がる音がした。

「あのねうるさい。静かにアンプ没収。」

ああまあいいかアンプがなくても平気平気。生音でやるからね。そんなこんなで軽く二時間くらいやってたら何か愛着が湧いている。そうだ名前つけようと。うーん赤だからな紅乃とかどうかな。よしそれにしよう。宜しくね紅乃。


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