第29話
「先輩!なんかゲームしましょうよー」
山上が家に来て程なくしてテレビをダラダラと眺めていた山上が言う。
「いや、ここ俺の家なんだけど...何でそんなに自分の家みたいにくつろいでるの?」
「ほんとよ?あなたいつまでいる気?そろそろ帰ったら?」
「いつまでって、まだ来てから1時間もたってないですよ?あと遊びに来たっていったじゃないですか〜」
「俺、今日が休みとはいえ一応停学期間なんだが...」
今日と明日で終わりとはいえ一応まだ俺は停学扱いだ。
まあ小牧がいるから大した違いはないが...。
「でも今日は休みです!だから大丈夫ですよ。さあ、なにやりますか?」
山上はそれだけいって切り替え、部屋の押入れ、ボードゲームなどがいくつか詰まっているところを漁りだした。
だからここ俺の家なんだけど...まあもういいけどね。
小牧もため息を吐くと無言でテレビのリモコンを取り、チャンネルを適当に回し始めた。
「あ!シンプルだけど大富豪とかどうですか!?」
大富豪とは、あの地域、学校ごとにルールが違い、遠い親戚とかとやると
–––あれ?一番強いのって3だよね?
–––え?2じゃないの?
となる奴である。
ちなみに一番強いのは3でも2でもなくジョーカーだ。
「あれ、ルールが地域ごとに違うから嫌いなんだよ...」
「あら?神野くんにも小さい頃にはトランプで遊ぶ友達がいたのね?」
「いや、小学校低学年の頃は割とみんな仲良しって感じだろ?高学年からカースト制度が出来上がり初めて中学校になると完璧にグループができ始めるんだよな...」
「先輩かわいそう...」
俺はただ事実を言っただけなのに勝手に憐れまれた。いやほんとアレなんで何だろう。去年まで仲が良かったたいがくんもりゅうくんもなぜか中学に入った瞬間廊下で会うたびに微妙な顔されるようになったんだよな...。
「ま、まあとにかくやりましょう!」
「で?それを私たちがやるメリットは?」
山上が乗り気なのに対して小牧は全くといっていいほどやる気がないようだ。
「じゃあビリの人が罰ゲームをしましょう。」
ああ、このくだりは俺が負けるやつや...
俺は何となく察しがついてしまったがここまでくると小牧にはやる気の火がついてしまうのでもう何も言わない。
この言葉を聞いた小牧は絶対に何が何でも勝ちに来る。
「で?罰ゲームは?」
俺はどっちかをどんな手を使ってでも蹴落とすと決心し罰ゲームの内容を問う。
「うーん...なんかいいのあります?」
「そうね、それじゃあビリの人が1位の人の命令を一つ...」
「まて、それ毎回あるから、たまには何か別の罰ゲームにしろ。」
俺はすかさずつっこんだ。ゲームの罰ゲームが毎回それはちょっとどうかと思う。
「じゃあこれなんてどうですか?」
と言いながら山上はカバンからそれを取り出した。
「ほう...いいわね。それで行きましょう。」
俺はそれが示すものの意味がわからなかった。
それは超ゴスロリファッションの服にウィッグ、その他化粧道具だった。
「いや、どういうこと?」
「...?負けたらこれをフル装備で街中を歩くんですよ?」
「おい待て、それは俺にしか大した被害がないじゃないか。」
「何を言っているの?今時こんなゴスロリファッションなんて着て歩いたら女子でも恥ずかしいわよ?」
「ということは男子は更に恥ずかしいってことだろうが!!」
その後10分程抗議したが結局罰ゲームはそれに決定した。
––––勝敗?それは聞かないでほしい...。
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