第24話
山上を送り、家に戻ると当たり前のようにまだ小牧がいた。はぁ...まあいっか。
いちいち突っ込むのもめんどくさくなった俺は寝る時間までに帰ってくれればいいと思い何も言わなかった。
21:00
特にやることもなくダラダラと2人でテレビを見た。
「ねぇ神野くん、マッサージしてあげてもいいわよ?」
「いや、別にいいよ。肩も凝ってるわけじゃないし。」
「あら、そう。」
俺はその言葉を言いつつテレビに視線を戻した。
22:00
俺はテレビをつけたままスマホでネットサーフィンをすることにした。小牧はテレビのリモコンを勝手に操作してドロドロの大人の恋愛ドラマを放送しているチャンネルに変えた。
しかもちょうどキスするシーンであった。
俺は前までのストーリーを何も知らないので特に感動もなくただ呆然とキスシーンを見つめる。
こいつもこういうドラマ見るんだと思い視線を小牧に向けた。
小牧も自分に送られた視線に気がついたのかこちらを見てニコッと微笑んだ。
俺は苦笑する。こういったドラマに免疫がないのでよくわからないのだ。
「...//」
小牧はいきなり頰を赤くさせたかと思うと無言で俺の肩に腕を回し俺の顔に自分の顔を近づけてきた。
そう。まるでキスのように...
「...ッ!お、おい!お前いきなり何やってんだ!!」
あと数センチというところで俺は体を大きく仰け反らした。
あ、危ねぇあと1秒遅かったら完全にキ...いや、やめておこう。
「キスシーンでこちらを向いたからキスサインかと思ったのだけれど...」
「んなわけねぇだろ!」
23:00
「ねぇ、神野くん。このカップルの相性診断というのやってみない?」
「いや、俺たち別にカップルじゃないし...」
というよりそもそもネットの診断なんて物騒な予感しかしない。
「ダメ...?」
小牧は俺の否定的な意見に対し、秒で上目遣いのおねだりポーズに入った...
「...わかったよ。」
俺は素直に受けることにした。あの態勢に入られると断れない。
聞かれたのは主に2人の間柄でのお互いどのような感じかという質問だった。
結果は...
【相性〔良い〕】
「あら、私たちの相性、バッチリ見たいね、じゃあ結婚しましょうか」
「ああ、っておいいきなり結婚とかいうな。」
23:40
「...」
「...?」
俺は小牧を無言で見つめる。その視線に気がついたのか小牧はこちらを振り向いてキョトンと首を傾げた。
「いやお前もう帰れよ!」
俺は今更ながら突っ込んだ。もう明日が来る時間だ。俺ももう眠いので寝たい。
「...あらそうね。そろそろ帰らないと...あら、こんな時間に外に出たら補導されちゃうわ。今日は泊めてくれないかしら?」
「おい。その演技は無理があるぞ。何が補導だ。隣だぞ。」
こいつ、これを狙ってやがったのか。
確かにこの時間に高校生が1人で外を出歩いていたら補導の対象となる。だがここからこいつの家まで普通に歩いても20秒もかかるまい。20秒で飛んでくる警察など俺は見たことがない。
「あなた、仮にも女子高校生に深夜徘徊させる気?」
「隣じゃねぇか!嫌ならベランダ伝って帰れ!」
「あそこは危ないわ。」
「数日前の自分にその言葉を教えてやれ!」
「そうね。じゃあ今日は泊めてもらうわ。さあ、一緒に寝ましょ?」
小牧は自然な流れを装い至って普通に俺の部屋のベッドで俺と一緒に寝ようとした。
「はぁ...わかった。今日は泊まっていってもいい。ただ流石に寝る部屋は分ける。あいにくこの家にはまだ空き部屋があるからな。そこで寝ろ。」
「私と一緒に寝ると気持ちよくなれるわよ?」
「卑猥な言い方をするな!今ので満足できないなら帰れ!」
俺は玄関を指差してそういった。もう、俺とこいつの相性のどこがいいんだよ。教えてくれて、インターネットさん...。
「ふふ、わかったわ。仕方ないから今日はそこで寝ることにするわ。」
「今日はって何だよ!明日は帰らせるからな!」
一日中家にいたのに何故か今日はどっと疲れた。理由は間違いなくツッコミのせいだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます