なりそこね

編野 真琴

第1話 

間違いなくあいつと同類だ

私の直感がそう言っていた。

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花粉全盛期の3月、就職活動で周りが必死な中、私はこの上なく遊んでいた。


大したことない中堅の私大くせに、どういうわけか超巨大企業から内定をいただいた。


長期インターンに参加したのもあるのだろうが、インターンの面接官が私のことを知っていたことと、インターンで仲良くなった子がその企業の社員さんのご子息だったこと、など、素晴らしい偶然が重なりに重なった就職活動だった。


人生の重大な壁をなんの苦労もせず飛び越え、イージーモードに突入してしまった私は、少し後ろめたさがありながらも誘惑に負けてしまい遊んでしまうのである。


原因はAである。

Aは高卒のフリーターでとっても暇らしく、私が就職活動をしている時も容赦なく電話してくる。


そりゃそうだ。

同い年の私たちは本来なら就職活動しているはずなのだから、基本的に友達はみんな忙しいはずなのである。

たぶんこの時期に頻繁に電話してきたら普通の就活生はキレる。

3月超えてからの就活生は今か今かと人事からの電話を待っているからだ。


Aは容赦ない。面接の前日(というか当日)の朝4時まで電話に付き合わされたこともある。さすがにその時の面接は落ちた。第一志望は別のところですと言ったらキレられ、早々に帰されたので、寝不足は関係ないだろうが…。


普通の、ただの友達なら、たぶんこの忙しいときに朝4時まで電話に付き合わせるような人間とは縁を切ると思う。(実際私もうんざりしていた。)だか、Aと私は十年来の付き合いなのである。そんなに簡単に人生の半分を一緒に過ごしている人間と縁は切れないでしょ?


小中高、全て違うので、就活が終わる前は月に1回会えればいい方だったが、内定も単位も既に取り終わったと知ると、人が変わったかのように連絡してくるようになった。




今日も暇なAはいきなり電話してきて、ユニバに来いと言う。


もう朝の10時やぞ?

普通あんなもん朝から並ぶんちゃうんか?

と、思いながら暇だし私服に着替えた。


いや、うん、今日はTOEICの勉強しようと思ってたやん…

行かんべきよな…

でも、『どうせ来年なったら忙しくなって遊んでくれへんねんやろ?』ってAにこの前言われちゃったしな…


うん、行ってあげないと可哀想よな、、、

急がないとキレられると思い、とりあえずダウンジャケットを着て財布とスマホだけをち、家を出た。


















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