第2話


まだ開発されていないシンプルな街のなかを私は歩いていた。

人気ひとけがほとんどないのは、まだプレイヤーが私しかいなくて、ちらほらみえるのは全てNPCだからなのかな?


私こと、プレイヤー名「リア」の種族は猫人族キャットピープル。黄土色に近い金髪を目の高さぐらいで左側に結んだサイドテールにして、結び目から毛先までをピンクブロンドに染めた。

左の頬にはピエロを連想させる滴型のタトゥーが入っていて、瞳は鮮やかな濃いピンク色だ。私が言うのもなんだけど、かなり可愛く仕上がったと思ってる。


見たことのない景色もそうだけど、これからは寝たきりじゃないんだっていう事実に心が躍る。今にもスキップをしそうだけど、さすがにそれはできない。恥ずかしいから。……誰かが見ているってわけじゃないけど、恥ずかしいんですよ。

ところで私に向かってくるNPCの少女は誰だろう。私に向かってきてるよね?


「ようこそ。始まりの町へ。私は案内人のルーラ、わからわからないことがあったら私に話しかけてね。

初めての人のためのチュートリアルを受けたいなら、自分のなりたい職業ギルドの受付まで行けばチュートリアルを申し込めるよ。どこに行きたい?」


あ、案内人なんだ。…え、すごくない?すごいよね?

だってNPCなのにこんなに流暢に話すし、動作も凄く自然だよ?

ルーラって名乗った案内人に驚くのは普通だと思いたい。

だってさ、いままでやってきたゲームのNPCはもっと機械音に近くて、かなり調教が良くとも普通のプレイヤーと思えるほど自然な物はなかったんだもん。このゲームのNPCは普通の人と変わらないんだよ。

え、神げーじゃんね?


これからのことに心を弾むのはきっと私だけじゃない。

だけど、話しかけてくれる子を無視しちゃいけないもんね。


「冒険者ギルドにいきたい。」


私はこれから冒険者になりますよ!


~~~



冒険者ギルド

そこは思ったよりもにぎわっていて驚いた。

まだゲームは発売されていないから、いまはまだは私以外全員がNPCだもん。NPCの冒険者もいるんだね。


村人やギルド職員がNPCなのはわかるよ。でもね、冒険者は多くのコミュニケーションが必要なために、プログラムされている会話しかできない従来のNPCは冒険者に不向き。それが常識なわけですよ。だからこそ、それが可能になっていることに驚きを隠せないのは当然のことなんです。

さっきから驚いてばっかりだね。

NPCの冒険者たちは本物の人でみたいにに流暢に会話したり、ギルド内に設けられている食事スペースでお酒を飲んでるし。

驚くよね?

まあいいや。まずは受付で登録しませんと。


「冒険者ギルドへようこそ。私は受付嬢のミラと申します。こちらのギルドでは、冒険者の皆様のサポートをしたり、冒険者登録、クエスト(依頼)の発注、ドロップ品の買取などをしております。何を行いますか?」

「冒険者登録をお願いします。」

「はい。それでは手にこちらのインクをつけて紙の上に置いてください。手を離すと登録が開始します。」


なるほど。言われた通りに実行すると、手を離した途端に紙が光り始めた。光りが収束すると紙に情報が書き出されていく。

これは面白い。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【リア】(ランク.F)

BP:0

所属:なし

種族:猫人族

LV:1

 力:70

 耐久:30

 体力:65

 敏捷:95

 魔力:160

 器用:80

スキル

 主導者…自分及び仲間のステータスが1.5倍になる。また、自身の経験値の増加量が1.5倍になる。

     だだし、ソロの場合は発動しない。

 魔剣召喚…自分の魔法属性の魔剣が召喚できる。ステータスに応じて性能も変化する。

魔法属性

 氷属性、風属性

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


BPとは冒険者ポイントのことで、依頼の達成数や精度、信頼度によってポイントが追加される仕組みなんだとか。ミラさん情報です。

達成数は依頼を達成した数、精度は被害の大小や討伐数、信頼度は受けた依頼に対しての成功率。

になっているんだとか。


そして毎月BPによって順位付けが行われて、月の最後に発表される。たしか一日が三日だったから、ゲームの一か月はリアルの十日間だと思う。

順位が付けられる事によって、プレイヤーの向上心を煽るつくりだね。

もちろん。受ける依頼によって、貰えるポイントや報酬も異なり、難易度が上がるほどポイントや報酬も増える。

難易度は最低のEから始まって、D,C,B,A,Sと順番に上がり、最高がSSなんだとさ。


ミラさんに見せてもらったリストはこんな感じ↓


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《難易度別最低必要戦力》

 SS…SSランクのソロ冒険者、又はSランクの冒険者が最低3人以上いる6人パーティーで受けられる。

 S…Sランクのソロ冒険者、又はAランクの冒険者が最低3人以上いる6人パーティーで受けられる。

 A…Aランクのソロ冒険者、又はBランクの冒険者が最低3人以上いる6人パーティーで受けられる。

 B…Bランクのソロ冒険者、又はCランクの冒険者が最低3人以上いる6人パーティーで受けられる。

 C…Cランクのソロ冒険者、又はDランクの冒険者が最低3人以上いる6人パーティーで受けられる。

 D…Dランクのソロ冒険者、又はEランクの冒険者が最低3人以上いる6人パーティーで受けられる。

 E…Eランクのソロ冒険者で受けられる。


冒険者ランクはF~SSまであって、ランクを上げるには昇格試験に合格する必要がある。

ちなみにミラの話によると、Fランクはただの登録した際のランクでしかなく、適性試験を受けるだけでEに上がれるとのこと。


「よろしければ、ついでに適性試験を行いましょうか?」


そのつもりですよ。


「お願いします。」


そう答えると、奥から来たもう一人のギルド職員についてくるよう促された。

まあ、そりゃここではできませんからね。ついていきます。どこまでも。


尚、私のスキルがレアスキルで、口外禁止となるのはまだ先の話である。


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