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 その日から夜道は怖くない。

 ジムに通って鍛えているから、元々そこまで心配していなかったけれど、敬二さんという送り犬が僕についていると思うと心にお守りが一つ増えた気分だった。

 でも、今回はそれが悪い方向に動いた。僕は油断していた。

 突然、鈍い音が頭の中で響く。バランスを失い、前に倒れる体。目に映る景色はゆっくりと狭まっていく。後頭部にじわじわと広がりだした強い痛みがこうなった理由を語っていた。

 元凶の姿を確認することができないまま、僕は気を失う。

 その直前、犬の遠吠えを耳にした。

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