第38話 波濤の覇者 ―Irresponsible―

 色あせた高層ビルの上に立つのは、一機のSAMだ。

 荒廃した都市の中で一際目を引くコバルトブルーの塗装の、細身のシルエット。

 流線型の輪郭を持つこの機体の最大の特徴は、背に生えたヒレや臀部から伸びるイルカのそれに似た尾である。手足の指の間には薄い膜状の水掻きがあり、『レジスタンス』が開発する水陸両用機のプロトタイプという存在だった。

 この機体の名は、【ガギエル】。

 そのSAMのかつてのパイロットであった湊アオイは、『第二の世界』ログイン前に『レジスタンス』に機体コードを申請。それが受理された結果【ガギエル】はここに立っている。


「生徒はおおよそ倒れたか。なら……行ける」


 コンクリートの屋上を蹴り飛ばし、跳躍。

 眼下の【異形】を睨み据え、降下する。

 

『……!』


『フラウロス』は【ガギエル】の襲来に移動しようとしていた足を止め、天を仰いだ。

 その豹の脚で軽やかに飛び退り、落下してくるSAMを回避せんとする。

 

「――避けられると思うなよ。僕の魔法は、この戦場全てを押し流す」


 早口に【詠唱】を済ませていたアオイは口元に久々の笑みを刻み込んだ。

 教師に転職してからずっと迷いを抱えていたアオイは、学園では「笑わない先生」として知られていた。

 ――生徒たちの前で笑えるわけがない。彼らの未来を戦い一つに縛り付けようとしている自分がのうのうと笑って過ごすことなど、許されるわけがないのだ。

 だが今は違う。ここは戦場で、周囲には誰もいない。味方を魔法に巻き込むリスクも、巻き込んだ結果誰かに責められることもない。 

『レジスタンス』時代、高い討伐数と同時に高い部隊の死傷者数を出していたアオイは、もう二度と誰かと共に戦うまいと固く決意していた。


【ガギエル】の牙の生え揃った大口が開き、そこから蒼い魔力の輝きが放たれる。

 吐き出された球状の魔力の塊は空中で破裂し――そこから生み出された水が超新星爆発ビッグバンのごとく波濤はとうを広げていった。

 

「ぐぅううううっ――ッ!?」


『コア』に魔力を根こそぎ持って行かれ、激しい頭痛と吐き気がアオイを襲う。

 左手で口元を押さえる青年はモニターに映る敵を充血した目で睥睨しながら、右手で操縦桿を操作。

 敵が回避を諦めて【反射魔法】を発動するタイミングに合わせ、次の一手を企図する。


『オマエの真実は何だ?』


 弱った脳に侵入してくる『フラウロス』の問いかけ。

 それに頭を振るアオイは自嘲の笑みを浮かべ、嗄れた声で返答した。


「そうだな……僕は、逃げたんだ。仲間を死なせるのが怖くて。仲間に恨まれるのが怖くて。ずっと、臆病だった。それでも――結局は、戦場ここに戻ってきてしまうんだ」


 彼は思い出してしまった。

 湊アオイという人間が最も輝ける場所は、ここなのだと。

 忘れていたつもりだったのに、SAMに乗っただけで血が沸き立った。別れを告げ、後輩に託した機体と再会できたことに、確かな喜びを感じてしまった。

 視界の先で黄金の光が閃く。

 その直後――大質量をもって敵を押しつぶさんとした瀑布が、物理法則を超越して昇ってきた。

 

「泳ごう、【ガギエル】!」


 共に戦場を駆け、泳いでくれた愛機に呼びかける。

 アオイの表情は笑顔だった。他の一切の感情を取り払った、純粋な喜びから生まれる表情。

 彼の声に応えるかのように、滞りなく迅速に【ガギエル】の【モードチェンジ】シークエンスは進んでいった。

 手足を折りたたみ、胸部からせり出した胸びれと尾びれ、背びれを用いて巨大な魚のように、逆流する大瀑布を突っ切って猛進する。

 その勢いはまさに滝を登る鯉のごとし。

 自身の弱さと忘れようとしていた戦場での高揚感を認め、反射された自分の魔法をも乗り越えて、湊アオイと【ガギエル】は『フラウロス』の首を取るべく肉薄した。


「乗り、越えろッ――!!」


 殴りつけてくる水流に機体の各所が悲鳴を上げている。いつ穴が開いて内部に水が入り込んでくるか分からない。

 だが、そんな憂慮はもはや些事だ。ただ無心で水を自分のものにする。それを遂げた瞬間、湊アオイは本当の意味で「戦場」に帰って来られるのだ。


「これで、決めるッ!」


 暴力的な奔流を掻っ切り、水飛沫しぶきを纏って【ガギエル】は躍り出た。


『真実を受け入れたか。オマエは、あの時の……空を飛ぶやつに、似ている』


 二度にわたる【反射魔法】の使用、加えて精神に干渉する魔法も使ったことで、『フラウロス』には三度目の【反射魔法】を発動できるだけの魔力量は残っていなかった。

 ここで討たれる――その運命を受け入れた心を宿す【異形】は、最期にそんなことを呟く。 

 再度の【モードチェンジ】、そして閃く銀爪。

 飛びかかった魚人のごときSAMに首を切り裂かれた『フラウロス』は、悲鳴を上げることなく、ただ己の死を味わっていた。

【異形】特有の緑色の返り血が【ガギエル】のボディを汚す。

『フラウロス』の首が道路上に転がり、今際の際に彼が何か言おうとした瞬間――降り注いだ水流がそれを無情に攫っていった。



「す、すごい、ね……あ、あれ、『レジスタンス』の【ガギエル】だよね」


 精神世界から脱したカナタは、コックピットにレイを同席させたまま【ラジエル】を戦闘の舞台に向かわせていた。

【ガギエル】の魔法が発動したのを見て巻き込まれないよう上空へ退避した彼は、全ての水が流れ去った後もそこに佇み続けるSAMを眺めて嘆息する。


「ええ。しかし、思ったより『レジスタンス』の応援が来るのが早かったですね。ボクの見込みでは、あと五分はかかるかと……」

「で、でも良かったよ。み、みんなの命に危害が加えられることなく、新型【異形】を倒せたんだから」


 カナタの言葉に深々と頷き、レイはモニター上の地図に表示される光点に目をやった。

 残存する味方は彼ら自身を除けば冬萌ユキエ、七瀬イオリの二名と、遠くの離島に転移している瀬那マナカのみ。

『フラウロス』は倒れたものの、クラス単位の【異形】戦としてはほぼ全滅で、限りなく敗北に近い結果といえた。

【ラジエル】の白銀剣を奪還し、『フラウロス』の懐へ切り込められれば自分たちでの勝利を掴めたかもしれないが――戦闘が【ガギエル】によって終結した以上、そんなことは考えるだけ時間の無駄だった。


「と、とりあえず……がっ、【ガギエル】のパイロットにお礼を言わなきゃね。僕たち、その人に助けてもらったわけだし」


 カナタがそう言うとレイはすぐに【ガギエル】への通信を試みた。

 ほどなくして、応答。


『こちら「レジスタンス」海兵隊少佐――い、いや新東京市立SAMパイロット養成学園所属、魔法学担当、一年B組の担任を務める湊アオイであります。そちらは?』

「えっ……み、湊、先生ですか……!?」

『その声は、月居くん? あ、そ、そうだったね。確か君たちが訓練してるところに「フラウロス」が現れて……』


 地上の戦場にいた頃の癖が抜けきっていないらしく、『レジスタンス』を名乗ってしまう青年。

 かつての【ガギエル】のパイロットが駆けつけてくれたことに驚きつつも、カナタは「あ、ありがとうございました」と感謝を告げた。


『生徒に感謝されるのはどうもむず痒いね。君たちは無事か? 機体の損傷等は?』

「だ、大丈夫です。らっ、【ラジエル】は飛べますから、あの魔法に巻き込まれてはいません。い、生き残った味方も、高台に逃れています」

『良かった。――君たちはあの【異形】と相対し、やつの精神攻撃を食らっているな。後に報告のために「レジスタンス」から招集されるはずだ。心の準備をしておけ』

 

 淡々と言ってくるアオイに二人は「了解です」と返す。

 それを最後に通信は切られ、カナタは不安を宿した眼差しでレイを見つめた。


「ほ、報告って、どこまで言えばいいんだろう。ぼっ僕が見せられた記憶の全てを、話さなきゃいけないのかな……」


 カナタが何を見たのか知らないレイには、選ぶべき言葉も分からなかった。

 レイはカナタと初めて会った時、詮索はしないと言った。だが今は、その思いも変化している。

 真実を知ったカナタは苦しんでいた。レイは彼の気持ちを完全に理解することはできないかもしれない。それでも彼を想う一人の人間として、その痛みを半分でも肩代わりしてやりたかった。


「カナタ。寮に戻ったら、話を聞かせてくれませんか? 先程も言いましたが、ボクはどんな君でも受け止める覚悟があります。何かに苦しみ、痛みを抱える辛さは、ボクも分かりますから」


 長めの前髪の下から青い瞳を覗かせ、カナタは静かに頷いた。

 それからふと思い出したように、一言付け加える。


「そ、その前に一緒に食堂でご飯食べに行こう。さっきも言ってたしね、一緒がいいって」

「ま、まぁ言いましたけど。で、でも、何か恥ずかしいというか、あんまりベタベタしてると思われたくないっていうか……」

「じゃ、じゃあやめとく?」

「ま、待ってください! いやっ、でもぉ……」

「あは、冗談だよ。せ、せっかくだしマナカさんも誘って、みんなで食べようか」 


 どうも二人きりになるのが恥ずかしいようだと看破したカナタは、そう助け舟を出した。

「まぁそれなら構いませんが」とぶっきらぼうに言うレイにくすりと笑みをこぼし、彼はウィンドウを開いて『第二の世界』からのログアウトを選択する。

 


『レジスタンス』本部、司令室にて。

 巨大な主モニターと幾つもの小モニター、コンソールが並ぶ作戦の要となる場に、宇多田カノンは足を運んでいた。

 上座からモニター上の戦場の光景を見据えているカグヤの側に立ったカノンは、報告を始めた。


「たった今、アオイくんから連絡がありました。【ガギエル】の大魔法で『フラウロス』は討伐され、脅威は去ったと。確認された『フラウロス』は従来種と異なる新型で、知性を有しており、パイロットへの精神攻撃も確認されたということです」


 滑舌よく話すカノンに「分かったわ」とだけ返事したカグヤは、細い顎に指を添えて何やら黙考する。

 その様子を眺めるカノンもまた、今回の事件と先のカグヤの講義とを照らし合わせ思考していた。

 今回は『レジスタンス』が作戦に入る以前に、学園側が【異形】を片付けてくれた。だが、実際に戦った生徒たちが新型【異形】について周知していなければ、被害は甚大なものになっていた可能性もあっただろう。

 今回のような新型【異形】の襲来を予期して、カグヤは先の講義で真実を明かしたのか?

 それは果たして彼女が危機管理に優れていたからなのか、あるいは新型が来ると事前に知ることのできる「何か」を掴んでいたからなのか。


(やはり、『魔道書ゴエティア』に全てが記されているの? というか、そもそも『魔道書ゴエティア』って何なの? 司令と早乙女博士、そして追放されたあの女だけが中身を知るというその書物には、一体何が書かれているの……?)


 カノンたちパイロットは、ただ一心に人類のために戦うことが使命だ。それ以外は何も求められていない。それを弁えているからこそカノンはいつだってカグヤに従順であり、組織のアイドルとして振舞ってきた。

 しかし――一度興味を芽吹かせてしまえば、それを捨てられるわけがなかった。

 隠されたもの。地上の真実を知る自分たちにさえ、明かされていない秘密。おそらくは全人類の中でも中身を知る者は片手で数えられるほどであろう、ブラックボックス。


「では失礼致します、司令」


 カノンは深々と一礼した後、足早に司令室を出て行く。

 人気のない廊下の一角で足を止めた彼女は、スマホの通話アプリを開いてある男の名前を探した。

 周囲に人がいないのを改めて確認してから、「通話」をタップする。


「もしもし」

『……もしもし、宇多田くんか。こっちは今色々と忙しいんだが、何の用だ?』

「今夜、少し付き合ってくれませんか? 良さそうなホテル、探しておきますから」

『俺は女遊びなんて趣味じゃないんだがな』

「司令にまで手を出す人が言っても、説得力はありませんよ。……じゃ、お願いしますね。あなたが要求するなら、多少の報酬は出します」


 愛機である【イスラーフィール】を設計した科学者である男――矢神キョウジとの接触を、カノンは目論みた。

 現在、司令の懐に最も深く入り込んでいるのがこの男だ。彼ならば『ゴエティア』に辿り着くための鍵を持っているかもしれない。

 無論、彼もゴエティアの詳細は知らないだろう。だが、手がかりさえ掴めればいいのだ。『ゴエティア』に限らずとも、カグヤについて新たな情報が得られれば構わない。

 

「こんなふうに男と会うなんて……アオイくんが知ったらどう思うでしょう」


 溜め息を吐き、通話アプリで未だに「お気に入り」にしたままの青年の名に視線を落とす。

 恋人として二年間を共にした彼が組織を去る時、呼び止めなかった自分の選択が果たして正しかったか――自分勝手に後悔してしまう自分に、カノンは激しく首を横に振った。

 彼を尊重するなら、その行いは間違いではなかった。しかし、一人の男性からまっすぐ向けられた愛情を忘れられずにいる女の感情が、彼を呼び戻したいと訴えてくるのだ。


「……もしもし、アオイくん」

「何、カノン? 報告に不備はなかったはずだけど」 


 過去に囚われるのは、『レジスタンス』のエースパイロットとして相応しくない在り方だと理解している。

 それでも――戦士である以前に彼女は一人の女だった。

 恋情を胸に抱えたまま進み続けることを、誰が責められようか。心を捨てて戦うくらいなら――二度と歌えなくなるくらいなら、カノンは死んだほうがマシだと思えた。

 電話越しに届くかつての彼氏の声に胸がきゅうと締め付けられる女は、そこで聞こえてきた足音に肩を跳ね上げさせた。

 振り返った先にいたのは白髪赤目の小柄な青年、風縫ソラだった。


「お前、まだアオイと関係持ってたの? 戦場が怖くて逃げ出したような奴なんて、【鋼鉄の歌姫】さまには釣り合わないと思うけど」

「彼を馬鹿にしないでください。彼は……彼は、他人ひとより優しすぎただけなんです。もし、平和な時代だったなら……きっと、もっと活躍できたような、素晴らしい人なんです」


 電話の向こうでアオイが息を殺す気配を、カノンは感じた。

 嫌悪感をあらわにするソラに、カノンは反駁する。だが返ってきた言葉に、カノンは絶句するほかなかった。


「優しさなんて、戦場じゃかせにしかならない。――初めて地上の戦場に出た時、撃てなかった俺にお前はそう言ったんだ。覚えてないわけないよな? 優しさなんて要らない、ただ敵になったものを殺す戦意だけがあればいい――お前のその言葉があったから、俺もお前の部下たちもここまで来れたんだろうが!」


 スマホを持った手がだらりと下がる。

 頼むから聞かないで、とカノンは祈るしかなかった。


「優しさを素晴らしいなんて言うな。お前は俺たちの戦意の象徴でいればいいんだ、カノン。戦場で輝く歌姫こそが、宇多田カノンという女の在り方って決まってんだ。お前はそれくらい多くの人間を、敵を殺すためだけの機械に変えちまった。人から優しさを奪い取った女が他人の優しさを賛美するなんて――そんなの、無責任にもほどがあるだろ!?」

 

 ソラの激情を浴びるカノンに、逃げ場はない。あるはずがない。

 人を導く者には責任が生じる。それを端から無視できるほどの図太さを、カノンが持ち合わせているわけもなかった。

 

「お前、逃げてただけだろ。アオイの優しさに溺れて、俺たちからそれを奪い取った罪の意識を誤魔化そうとしてるだけだろ。……ほんと、ある意味じゃお似合いだよ。結局宇多田カノンも、重責に耐えられない弱い人間だったんだ」


 ぷつん、と通話が切られる音が小さく鳴った。

 と、その時――この場の張り詰めた雰囲気を吹き飛ばす、間延びした女性の声が二人を呼ぶ。


「ソラきゅーんっ、カノンたーんっ、なに喋ってんのー? 楽しそうだし、あたしも混ぜて混ぜてっ!」


 ショッキングピンクに染めたショートヘアがトレードマークの小柄な女性パイロット。その胸にある階級章は、ネームドの専用機を持つエースパイロットを指す三ツ星だ。

 垂れ目でゆるふわ、といった感じであるカノンとは対照的な、つり目でケバケバしい見た目の妙齢の女性である。ついでに胸部も、豊満なカノンに対して彼女は絶壁であった。

 青のアイシャドーを入れた大きな目やすらりと高い鼻、薄い唇は全体的に鋭い印象で、どこか爬虫類然とした雰囲気を帯びていた。


毒島ぶすじまさん……今は、遠慮していただけませんか。生憎、そういう気分では……」

「あれ、何か取り込み中だった? ごっめん、あたし空気読めないからさー、そーゆーの分かんなくて。カノンたんと絡みたかったけどー、また今度にするね!」


 俯くカノンから視線を移し、毒島と呼ばれたパイロットはターゲットをソラに定める。

 彼女は自分より小柄な美少年――っぽく見えるだけで実際は青年だが――にがばっと抱きつき、髪をわしゃわしゃ掻き乱した。


「んー、可愛いー! グラマラスなお姉さんもいいけど、やっぱ合法ショタは最高だぜっ!」

「うるせぇ黙れセクハラ面食い女! どうせ人に抱きつくなら、女らしい色気の一つくらい身につけてきたらどうだ!」 

「Oh、言うねぇソラきゅん。君の毒舌もとい暴言はいつも胸の奥にグサッと来るんだ。もうちょっと加減してくれると助かるんだけどなー。互いに弟妹が付き合ってる間柄じゃん?」

「そんなん関係ないだろうが! いいから離れろ、汗臭い! あんた昨日シャワー浴びてねぇだろ!」

「やー、バレた? 来る『福岡プラント』奪還作戦の予行演習してたんだけど、どうも作戦進行上あたしが邪魔になったみたいで、追い出されちゃったんだよね。それからはもうふて寝! だからシャワーも夕飯も抜き!」


 何故か胸を張って言う彼女にソラは本気で引いていた。あえて俗な言い方をするとドン引きしていた。


「まぁ、あたしの魔法ってこれからプラントにする場所で使うには不向きだし、仕方ないっちゃ仕方ないんだけどね。だったら呼ぶなっつーの! って上層部に言ったんだけど、富岡のおじ様、『静かに』の一言で片付けちゃったの。あのおじ様、あたしに対してやけに辛辣なんだよねー」

 

 彼女の魔法の特性は「毒」。アオイの水魔法のように広範囲に毒液を撒き散らすその魔法は、【異形】特効の毒液を放つ銃の開発に利用されており、その力はカグヤも一目置いているほどだ。

 ――毒島シオン。彼女はカナタたちの同級生である毒島カツミの実姉であり、専用SAM【マトリエル】を駆る、七名からなる『レジスタンス』のエースパイロット【七天使】の一人であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る