ボッチにこのイベント量はしんどい

「ちょっと待つんだー!!」


 そこから出てきたのはなんと夏姫だった。何を待つのか、なぜタイミングを見計らうように出てきたのか。疑問はつきないがとりあえず明智小〇郎バリに頭を回転させる。うん、分からん。私は困惑した。


「どうしたのですか?姫川さん」


 下からキッッと下から睨みながら言う。目の周りに影ができてるよ、黒川さん。しかし本当にどうしたんだろう?


「どうしたの夏姫そんな鬼気迫ってきて」


「どうしたもこうもないわよ。あなたそこの人は誰なの?あとお弁当はどういうことなのか説明してくれる?」


 いつもよりトーンの低い口調で言う。怖い。背筋がぞっとした。私は青ざめた顔になっていた。のどが詰まる。しかしなんとかでてくる詰まった声で言った。


「この人は黒川さん。私が迷惑かけたからそのお詫びとしてお弁当を作ることになりました、、、」


「ふーん、ちょっとこっち来なさい、夏姫」


 う、、何を言われるのかわからない。けど夏姫のあの目を見れば良くないことなのは確かだ。ううう、怖いよー、助けてよー黒川さんー。私は涙目になりながらアイコンタクトを送る。


「いいから来なさい、夏姫」


 あ!! 腕を引っ張られる。そして屋上に入ってくるドアの裏へと連れてかれてく。

 壁に追いやられ、、、ううう、何をされるんだろう。思わず顔を俯かせてしまう。あああ、なんだか顔が熱くなってきた。ナニコレ怖い。どうしたの私?


 ドン!


 夏姫が肘を九十度に曲げ私の顔の横の壁にぶつけてきた。壁ドンだ。っく、普段ならドキドキするのかもしれないけど状況が状況だ。怖い、第一に夏姫の目が笑ってない、瞳孔が開いてるし。それでも息苦しさからなのか顔が熱くなってく、、、


「ちょっと、、、なんなの夏姫?、、」


 小さく、しかしハッキリと言い放った。すると夏姫は一瞬うろたえたのかフルフル震えていた。はぁー怖かった。今のセリフ言うのに基本コミュ障の私がどれだけ頑張ったか。しかし夏姫は言い返してきた。


「今までずっとボッチだったくせに。あなたは別にずっとボッチでいいんじゃないの?あなたはボッチなんだから黒川さんと付き合わなくていいよね?」


 夏姫の冷たい声が私の心に深く突き刺さった。ひどい、あんまりじゃないか。私が頑張って声をかけて喋ってるというのに。私は言い返せない悔しさと唯一の友達だった人に言われた悲しさで泣いている。もういい!夏姫のばかっ!


「う、ひどい、もういいよ夏姫!!私が黒川さんと仲良くしちゃいけないの?!!!」


 あああぁなんてことを言ったんだろう私は、唯一の友達、いつも仲良くしてくれた、それなのに、それなのに許せない私はどうしたんだろう?だめ、嗚咽が止まらない。視界が真っ暗になりながらもお弁当箱を取りに駆け出す。


 ドン!


 ぶつかった。はっとし見上げると、、、え?黒川さんの胸に?。大きいいな、、なんかこの胸のなかにいると少し落ち着き嗚咽が止まるようになってきた。例えるなら柔らかく包みんでくれる綿がふわふわに詰まってるクッションのようだ。なんだか優しい匂いがしてきて眠りにいざなうかのようなあ、、ふぅ。顔を横に向けさらにうずくまる。あああサイコー。顔を拗ねらせながらもら落ち着いてく。


「あ、あのー大丈夫ですか?」


 心配したような口調で黒川さんが言う。は!いけない。つい気持ち良すぎて幼児退行してしまってた。


「ごめんなさいっ!!」


「いやいいんですよ。むしろ、、、、」


「むしろ?」


「いやなんでもないです。それより何があったんですか?」


 ああ優しい。こんなにも優しくしてくれるなんて。黒川さんマジ天使!!私の心はすっかり黒川さんに癒された。


「夏姫が私に「あなたはずっとボッチよ、黒川さんとも関わらなくていいのよ」って」


「そうですか。それはつらかったですね。でも大丈夫です。私は大原さんとずっと一緒にいたいと思ってます。ずっとずっと、もしよければですけど。」


「黒川さーん!!!」


 私は黒川さんに抱き着いた。強く強く。こんなにも人に優しくされたのは初めてかもしれない。黒川さんは私よりも身長は小さいし、おどおどしてる。それなのに黒川さんからとても暖かい優しさを感じる。なんでだろう?なんでここまで優しくできるんだろう。私も黒川さんとずっといたいと思ってる。出会ってすぐだし、この私の気持ちは何なのかは分からない。けど!


「改めてよろしくお願いします黒川さん!!」


「こちらこそです。大原さん!!」


 私たち二人は相手の両手を握り合い額を合わせ笑みを浮かべてた。私の気持ちは確実に黒川さんに心惹かれてる思った。とその時だった。


 ザーザーザー


 屋上来た時から降りそうだなとは思ってたけどこのタイミングとは。まるで私たちに水を差すようなタイミングだ。


 あれ?夏姫はどこいったの?私も黒川さんのおかげで気持ちが落ち着いたからもう一回話してみたいんだけど。


 あまりにも雨が降ってきたのでそのまま教室に帰ることにした。それから5、6時間目を過ごしたがずっと夏姫のことが気がかりだった。どうしていなくなったんだろう。今度会ったら聞いてみよう。聞いてみたいことはたくさんあるし喫茶店でも行きたいな、黒川さんもさそって。


 下校の時間になった。夏姫を探してもやっぱりいなかった。仕方なく私は一人で帰ることに。夏姫と私は帰宅部だけど黒川さんは聞いたところ文芸部だそうだ。似合ってる。私も入ろっかなー。黒川さんともっと会いたいし。


 家が近いこともありすぐに家に着いた。ふぅー今日は色々あったなー。黒川さんとの出会いに夏姫との喧嘩、、、疲れた。ハッキリ言って今までずっとボッチだったものだからこんなに人ととのイベントがあるとしんどい。けど頑張りたい。高校の目標ができた。もっと黒川さんとかと仲良くしていきたい。友達付き合いがんばるぞー!!


「おねぇご飯まだ?」


「え?!!!千鶴!!」


 話しかけてきたのはなんと最近口をきけてない妹の千鶴だった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る