黒川さんとの出会い 中編

 コンビニが近くということもあり無事遅刻せずに済んだ。しかし教室に入るときの視線がやばかった。ある生徒はやばい人を見るような目で、ある生徒は可哀想な人を見るような目で、しかしその中にも周りとは違う目をした子がいた。ぶつかってしまった黒髪ショートの子だ。


 私はおどおどしながら黒板を前に見て左から二列目の一番後ろに座る。それからぶつかってしまった子に焼きそばパンを渡しにいった。あぁ怒られるかな?いじめられるかな?不安に怯え、また動悸が上がる。


「あの、さっきはすみません。これお詫びです。」


 わたしはもう爆発しそうな顔をこらえながらもそう言うと両手で焼きそばパンを渡した。黒髪の子はそれをおどどした手つきで受け取った。


「あ、ありがとうございます。一生の宝物にします。大原さん。」


 俯きながらはにかんだ。


 なにこれかわいい、じゃなくて一生の宝物ってどういうこと?あとなんで私の名を?さっきから動悸が上がりっぱなしなのに変なことを言われたせいで頭はショートし、判断力が鈍る。そのせいかどうしていいか分からず、くるりと背を向けると速足で自分の席に戻ってしまった。


 いけない、失礼なことをした。少し時間がたって昼休憩の時間になり落ち着いた私は申し訳なさでその子のことを見る。その子はというと少し時間がたったというのに、あぁぁ、とふにゃけてる。本当に何があったんだろ?もしかしたら不快にさせてしまったかもしれない。私は勇気を振り絞って話しかけに行った。


「あのさっきは本当にすみませんでした」


 きっちりと腰を曲げ謝る。


 ああ怒られるかな?またバクバクと心臓が跳ね上がる。


 謝られた黒髪ショートの子はまたもや俯きながら少しはにかみ


「だ、大丈夫ですよ。気にしないでください」


 とおどおどしながらいった。おどおどした子だなぁ。よく見るとたれ目で前髪が目にかかるぐらいで上目づかいで見てくる。小さい猫のような子だった。庇護欲を掻き立てるような雰囲気を出している。


「なんかお詫びさせてほしいです。」


 私はあまりにもかわいい子なので興味がわいた。それに折角夏姫以外の人と喋れているのでもっと喋ってみたかった。


「じゃ、じゃー一緒に昼ご飯食べてくれませんか?わ、私まふゆさんともっと喋ってみたくって、、」


 上目づかいで頬を赤くしながら言う。願ってもない提案だ。私もクラスの子と仲良くなりたいし、それにこの子も人付き合いが苦手な子だと思うから安心して喋れるし。


「いいですよ。私からもお願いします。」


 私は失礼のないように、好印象をと、全力の笑顔で答えた。すると黒髪の子はまた


「あ、ぁぁあ」


 とふにゃけ出した。どうしたのだろうか?体調が優れないのならやめたほうが、、


「体調が悪いですか?ならまた今度でもいいですよ?」


「いえ違いますっ!!」


 少し食いつき気味に言ってきた。まぁ大丈夫ならいいのだが、、、、それじゃーどこで食べようかな?私はいつも人がいない階段の踊り場だけど、二人で食べるとなると教室か屋上だけど正直教室は陽キャどもがサバト開いてるし居づらい。となると屋上か。


「屋上で食べませんか?」


「え?人気がない屋上に行くんですか?」


「え?そりゃー人気がない方が都合がいいんですよ。」


 すると黒髪の子は俯きながらニマニマとし、「人気がないとこにお呼ばれされてしまった。」とブツブツ言っていた。いや別に私は人付き合いが苦手だから屋上にしただけなんだけど、、


 それから最奥にある階段に進んで5組の前を通る。あ、夏姫だ。夏姫はクラスの真ん中で大勢の友達と喋ってる。なにやら深刻な顔をしてる。友達の話を聞いては考えてるようなそぶりを見せ、どうしようかと物思いにふけっていた。何か悩みでもあるのかな今度聞いてみようかな。あれ?夏姫と喋ってるの4組の人だ。交友関係広いなー、いいなー。




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