二章 森の中での1日

プロローグ

「どうしてわかってくれないんだよ––––ッ!!」


 誰もいない森で言葉を吐き捨てると、傷の痛みに耐えながら上半身を起こしていく。


 他人から見てハルタは理解できない存在。狂人と同じ扱いを受けた事にショックと同時に怒りが湧いて来る。



 俺が何したって言うんだよ。

 俺がお前に危害を加えるって言うのかよ。


「ふざけんなよッ!」


 やる訳ないだろ!

 仲間にそんな事する訳ないだろ!!


「そう思ってたのは俺だけなのかよ……。」


 独り。いつ魔獣が襲って来るかわからない森でハルタは涙を流す。

 ハルタが仲間と思っていただけで、彼女はハルタを仲間だと思っていなかったのか?


「あっ––––」


 思い出す。


 あの笑顔は嘘だったのか。


 ––––いや、違う。


 ハルタは覚えている。嘘偽りの無いあの笑顔を。


 ハルタは覚えている。彼女の優しさを。


 ハルタは–––––。



 再びあの笑顔を見る為に奮起する。




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