第76話 神人の盾
『侵入者あり。メインゲートを破ろうとしています』
バアルが周りの様子を見て呟いた。
「この声は……女性の声のようだけど、直接頭の中に聞こえる? この場にいる全員に聞こえているの?」
花びらが舞う春の気候のエールの庭園。
その穏やかな景色に似合わない警報に、周りを歩いていた人々も立ち止まって正門を見ている。
バアルの頭の中に響く声についてイルが説明した。
「これはダイレクトメッセージ。神人の遺産の遺産の一部が今でも動いているの。この極寒の山中で、わたし達が心地良い風の中で暮らせているのも、神人の残り物のおかげ」
イルの答えに驚きと喜びを隠せないバアル。
「すげーー、カッコいいな。ナウシカ的なワールド古代の超技術」
大陸ではおとぎ話として語られれる、神人と六頭竜神との戦い。
バアルはその壮大で想像を超えた戦いの物語に思いを寄せた。
イルが話を続けた。
「エールの正門はね、あなたがアイネと一緒に通った巨大な石の門と同じ、天の神子の遺産であるエネルギーシールドで覆われているわ。だから壊される事はないの……って、え、え?」
冷静に話していたイルの口調が変わった。
「え、なに!?」バアルがつられて焦る。
周りの人々も門の方を見つめる。正門が白いエナジィで輝き、小刻みに震え始めている。
「イル? どうしたんだ。なぜ、急に門に注目しているの?」
疑問を持ったバアルに女性のダイレクトメッセージがまた頭の中に響いた。
『侵入者のエナジィ増大中。門のシールドは3層まで破損。内部に侵入されました』
「これは、これは」
髭を撫でながら門を見ていたエール王は、嬉しそうに口元を緩める。
「バアルは神人の逸話は聞いているでしょ? でもおとぎ話だと思っていたよね?」
イルが何を言いたいのが分からないバアル。
「うーーん、確かにドライグの長老からは真実だと聞いていたけど、経験したことが無いものは信じないからさ」
バアルの答えに神人の存在についてイルが語った。
「神人は存在した。彼らが作り出したオーパーツ。銀河を渡る鉄の船、星を一撃で破壊する光の束、竜を引き裂く巨人、いかなるものも跳ね返す盾」
バアルが目の前の正門を見た。
「まさか……神人の盾が正門に施されているの? 今まで門を破壊された事はあるの?」
軽くを首振り答えるエール王。
「無いな、エール建国から300年の歴史で一度も。なにせ、神の武具なのだからな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます