転生によりオレ勇者で母親は大魔王ついでに魔女の姉貴の俺への暗殺計画がヤバい
こうえつ
俺の異世界
俺の扱いが軽すぎだろ
第1話 意外と真面目な魔王討伐
じゃり……俺が正面に見る真っ黒な入口の前に歩みを止める。
巨大な悪の巣窟に正面から単独で切り込んだ。
俺は転生勇者! 元は冴えない彼女いない歴16年! まあ、あり過ぎる状況だが一応説明しとくな。
転生した異世界ではやはりチートが当たり前で、巨大な力を得て勇者として今を生きている。だが色々と問題も……まあ、それはこの戦いの後でいいだろう。
「さてと当たりだといいなあ」
レアアイテムの期待を口にして明かりを灯して中へと進んだ。
どれくらい経ったのか。腕時計が欲しいところだが純ファンタジー設定のこの世界では得られない、同じく懐中電灯もない、松明だけが頼りの明るさ。
もう百匹は切り裂いた市販で割引で買った戦士の剣(普通)。
この危険なダンジョンに侵入したのはこのありふれた剣のせい。
なんせ、なりたての勇者。ポテンシャルは高いかもしれんが俺は形から入るタイプなので装備を充実させたかった(ネームドが欲しいよな)
かなり奥へと進んだ、もう外界の光はまったくない、ボスは近い。
実は町でここのお宝は軽量で小型だがとても優秀な剣だと聞いていた。
「ピカピカとかグラボみたいに光るカッコいいのがいいな」と性能度外視な感じだが、最近は形良ければ中身もいいと決まってる、スマホだって高いのは包装からカッコいい。
その後数時間戦い続け進んだ。
一番奥まった部屋で奴は待っていた。
使い慣れた安い剣を握り直し、同じく30%引きの防具も締めなおし部屋に飛び込んだ。
「さあ勝負! 一気に片を付ける! お宝は俺のものだ!」
飛び込んだ俺を不思議そうな顔で見たこのダンジョンの魔王。
「お宝だと。笑わせる、おまえも最近増えた異世界の勇者か? あーー面倒だ、おまえらチートしてもらったからってな、なんでいきなり魔王討伐なん?」
不満いっぱいの魔王に俺は口ごもった。
「え、なに、ダメなの? いきなり魔王は禁止なの?」
はぁ~~ため息をついた魔王はもう、何度か答えたみたいで面倒そうだ。
「だっておまえら一杯いるじゃん(笑)一匹の勇者を見つけたら百匹の転生勇者って最近は魔王会議でも笑い話だ。で、マジレスすればだな、剣を握ったばっかりの初心者がいくらポテンシャルが高くても、ちゃんと戦えるわけないだろうが! これは命を取り合う真剣勝負だぞ!」
魔王は吐き捨てるように言葉を発しながら歩み出していた。
すらりと抜き放った魔王の剣は独特の文様をが浮かぶ小ぶりだが美しい剣だった。
俺は探していたお宝を目の前にして魔王に構える。
「それ、ここのお宝だろ?」
俺の問いに小鼻で笑う魔王。
「くだらん、まあ、この剣はレアでダマスカスのショートソードだがおまえには無用なものだよ、今すぐ殺して転生勇者デスノートに書き込んでやる!」
ゆっくりだが歩みを止めない二人の距離は一気にちじまる。
俺は先に動いた。
素早く右足を大きく踏み込み両手でかかえた剣(安い)に身体全体の力を伝えて一撃、大盾に防がれたが火花が散り大きく態勢を崩した魔王。
飛び散った鉄の匂いを嗅ぎながら俺は自分の力の源を強引に引きずり出す! 竜力!(ドラゴニック)これが俺の転生祝いのチートで力や速度や防御を一気に跳ね上げるスキル。
俺の最大まで引きあげたドラゴニックから繰り出す!
「最大必殺! ドラゴンブレイク!」
俺の必殺のかけ声と魔王の断末魔の叫びが聞こえた。
「まじ? 転生勇者じゃないのかよ? 修行なんてすんなよ! 転生だろ、おまえ……」
魔王グレイトノムリッシュ倒れた。
意外や意外。なんの修行もしない転生者とは違い俺は真面目に努力していた。
スキル上げの為に剣技の修行をしていた。
異世界に転生した俺は勇者として育ちついにやり遂げた。
「どうだ! やった! やったぞ! ついに俺は魔王を倒した!!」
これで世界中の人々が安心して眠れる世が来る……はずだった。
・
・
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昼の戦いに疲れた俺はアジトに戻りHP絶賛回復中。
アジトは木造二階建てで、一階にリビング、二階は二部屋しかないこじんまり。
それでも爆睡する俺には憩いの地。
どん、どん、どどどん、どかーーーーーーん。
「なんだ?」そこに響く凶悪な轟音。
「これは……やつの探索か?」
まずい今は戦える力が残っていない。
目を覚ました勇者の俺はアイツに見つからないように、押し入れのさらに奥へ逃げ込む。
しかし、アイツの探索は続く。
どん、どん、どどどん、どかーーーーーーん。
「やばいでしょうこれ!? どうしよう?」と思っていた時に扉は簡単に破られた。
どかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!
「こら! バアル! 夕ご飯も食べないで何寝てんの!?」
素手で押入れ破壊した聡子……じゃなくて転生して名前が変わった母だった。
「あの~~ですね」と今日は大変だったと五分ほどにまとめて説明してみた。
「ふーんグレイトノムリッシュねぇ……知らんけど。あとで参謀のラシャプ・キングストン・ナイトオブテーラーに聞いてみるか。ところであんた。早く喰わないと……メテオ……だからね!」
俺の倒したボスより強そうな部下の名を言うし、いきなり最高位の魔法が唱えられそうになり、「まて!」と焦り一階へ降りていくことを了承する俺。
俺が真面目に修行していた理由の一つはこれ。
そうなのだ、例え、俺が流行の転生勇者の中で最強だとしても、母には手出しが出来ない。
なぜなら……母はこの世界で魔界最強の「大魔王ツクヨミ」に転生……したからである。
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