となりの幼女はコミュ障のはず

@asin

プロローグ

「お兄ちゃん朝ごはん食べないの〜」

本郷 清正は毎日この言葉が聞こえると目を覚ます。

これは妹であろうと、異性の声には本能が反応してしまっているのだろうか。

目を開けるとカーテンの隙間から差し込む光が眩しい。

光に目を慣らし、渋々ベッドから起き上がり、顔を洗う。

1日の始まりはこのワンセットからスタートしている。

下に降りると俺の妹、優羽は料理の前に座り、スマホを弄っていた。

「目ぇ悪くすんぞ」

そんな兄の忠告も集中している彼女の耳には届かないようだ。

スマホをつい先日貰ったのだからその気持ちは分からなくもない。

勉強アプリも最近は出ているし、勉強するのは良い事だ、だが飯のときぐらいは、勉強は中断させよう。

俺はスマホを取り上げ、優羽には届かない本棚の上に置いた。

「ちょっと、お兄ちゃん!まだセーブしてないんだけど!」

どうやら、優羽は勉強などしていなかったようだ。

横では頬を膨らませ、リスのように自分で作った料理を頬張っている。

目が合い、どうしたかと思うと

「食べないの?あ〜ひとりじゃ食べられないのか〜」

俺は冷たい視線をを送るも、それにきずかないのかフォークに刺したレタスを口に近づけてくる。

もうこれには慣れてしまっているため、レタスを横目に新しいフォークをキッチンから持ってくる。

そんないつものひと茶番を終わし、俺は始業10分前に家を飛び出た。

幸いにも高校は家から2km程度の位置にある為、全速力で2km走れば何とか間に合う。

家から飛び出た俺は周りに目もやらず、左から出てきた人物を押し倒すのであった。

「キャッ」「うおっ」

俺は自分の体が覆いかぶさっていることに気がつくと、急いで立ち上がった。

「ご、ごめんなさい!」

はぁ、時間がないのに...。

「ん?」

まてよ?キャッ?でも、凸凹なんてあったか...?

頭を必死に回転させるも、彼女、いや、1人の少女が起き上がるには十分だったようで。

「いたたた、」

少女はこちらを見ると、

「ちょっとあんた!前ぐらい見なさいよ!」

うん、良きかな良きかなここから俺に手でもあげてくれればなおのこと良…。

「あんた、どうも殴られたいようねぇ…」

「当たりま…」

これを言うと何かを失いそうな気がしたので慌てて口を閉じた。

「へいへい、悪かったって、じゃあな!」

強気の少女も男子高校生の全速力にはとても追いつかず、惜しくも離れて行ってしまうのだった。














  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

となりの幼女はコミュ障のはず @asin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ