滝田聡司の告白 4
軽音部は野郎ばっかりで、気楽だったな。
……女子部員とずっと一緒にいられる吹奏楽部がうらやましい?
違えよ。馬鹿言うなよ。あいつらもう、家族みたいなもんだよ。
想像してみろよ。わりと口うるさい自分の母ちゃん姉ちゃん妹あたりが、ずっと一緒にいるんだぜ?
で、あれこれ口出してくるの。「もっと練習しろ」とか「重い楽器運んでよ」とか「使えないですね」とか言ってくるんだぜ!? もう女子じゃねえよ。家族だよ家族。
もちろん、ぜんっぜんモテる気配なんてねえからな!! むこうだってそう思ってるだろ。じゃなきゃあんな扱い……うう。
あーもう、どっかにうちの妹みたいなかわいい子いないかな?
ああ、あんまり言ったことないんだけど、オレには妹がいるんだ。
ちょっと歳が離れてるから、ケンカとかしないし、そんなんだから向こうも結構懐いてくれてる。
かわいいぞー。「おにいちゃーん」って駆け寄ってくるの、かわいいぞー。吹奏楽部で罵倒されて帰ってくるオレの癒しだよ癒し。
……え、なんでキモいって言うの?
だってかわいいんだよ、それは全然やましい感情じゃねえだろうがよ!?
かわいいは正義だよ! オレの妹がこんなにかわいいわけがなくないんだよ! かわいいんだよ! 文句あるか!
……コホン。
まあそんなんだから、なんとなく年下の女子部員の方が話しやすいなあとは思ってたな。
貝島とかはなんか、世話してるって感じで……なんでそんな目をするんだ。
あいつはあいつで、生意気だけど妹みたいなもんだったよ。
部長に選ばれちまって、これからはちょっと心配だな。春日の後だし、オレはもう見ててやれないし、あいつ自身がだいぶとんがってるからな。
……オレがちょっと世話焼きすぎちまった面があるからなー。
あいつ自身を、もっと他の部員と関わらせるべきだったなと、ちょっと後悔してる。
大丈夫かな貝島。
あいつもあいつで、春日と同じで不安な時期だと思うんだよな。
まあ、オレたちと一緒で……最後の最後に笑っててくれれば、それでいいとは思うけどな。
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