オタクな私(元俺)は、ボーイズトイで無双します!~異世界で憧れのヒーローになる~
ゆうやけ
第1話 ビギニング・ザ・ストーリー
俺、吹雪 正太 はオタクで陰キャな高校2年生だ。
今は放課後、一人で寂しく帰っている。
クラスで仲の良い奴もいなければ、趣味を共有できるような仲の奴もいない。
我ながら寂しい人生だ、しかしそんな俺にも楽しみの一つや二つはある。
例えば今日家に届く「PBT版 ステージドライバー&キー・ウエポン 」とかは俺の大きな楽しみの一つだ。
俺が言っているステージドライバーとキー・ウエポンというのは俺が小学2年生の頃、毎週日曜日の朝に放映されていた特撮作品「変身ヒーロー ストーリー」、ベルトに物語の情報が入ったチップを差し込む事で、その物語に出てくる主人公と同じ能力が使えるようになるヒーロー、そのヒーローが使う2つのメインアイテムのことだ。
そして今日俺の家に届くのは当時、子供向けに発売されたDX版ではなく大人向けの玩具の「PBT版 ステージドライバー&キー・ウエポン コンプリートセット」!この為に俺は夏休みにやった事もないバイトをして、稼いだんだ。
何故そこまでして手に入れたのかというと、初めてその特撮をみたその時から「ストーリー」はずっと俺の憧れだった。そんな憧れの存在がいつも使っていたアイテムのプレミアム・ボーイズ・トイ版が発売されると聞いたら買うしかないだろ!
ワクワクした気持ちで道を歩いていると強い向かい風が吹いた。
俺の好きな特撮ヒーロー「ストーリー」の世界なら何か大きな出来事が来る前ぶれだったりする。
まあ何も起きないでしょと公園の前を通り過ぎようとしたその時、公園から純白な髪の一人の女の子が飛び出してきた。
そしてその女の子の横には凄いスピードのトラックが来ていた。
女の子が引かれそうなその一瞬、俺の周りが時がゆっくりになったような感覚がした。
これは神様的な何かが、俺にこの女の子を助けろと言っているのだろうか?「ストーリー」ならこんな場面に遭遇したら助けるのだろうか?・・・・、いや今は「ストーリー」がどうとか関係ない、一人の人間として目の前に消えてしまいそうな命があるのならば、この手で救える命ならば助けるしかないだろ!
「きみ!危ないよ!」
「・・・・え?」
俺は驚いたような顔をした女の子を押して、トラックに引かれた。
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意識が戻ったのだろうか?真っ暗闇な世界に強い光が差し込んだ。
目を開けるとみしらぬ場所に居て、対面にはニッコリとした白人の女性がいた。
「初めまして正太様、私は地球で亡くなられてしまった人々の魂の案内をしてる、ベルナデットと申します。
もうわかっているかと思われますが、貴方様は残念ながら亡くなられてしまいました。」
・・・うん、なんとなく察してた。
「死因は、車に引かれそうになった女の子を助ける為に自分を身代わりにしてトラックに引かれた事です。」
「そういえば、あの子はあの後無事でしたか?」
「貴方の勇気ある行動のおかけで一時的に助ける事は出来ました、しかしあの子の家庭は最悪な状況で結局貴方が助けなくとも持病か親の虐待で死んでしまう運命でした。」
「そ、そんな・・、」
「でも今回は貴方の勇気ある行動に免じて、特別にあの子の運命をいい方向に進めるように改変しておきました。本当に特別な事なのですよ」
「有難うございます!」
「さて、いままでの話はここまでにしまして、今から?様のこれからについてご説明させていただきます。普通、亡くなられた方の魂は記憶を消させていただき、その後はまた同じ世界に生まれ変わっていただくのですが、?様の場合は本来より速い歳で亡くなられてしまいましたので、また同じ世界に生まれ変わわられてしまうと前世の記憶が蘇ってしまう危険性がございます。ですので、違う世界にはなってしまいますが今の記憶を消さずに生まれ変わっていただいて新たな人生を歩んでいただきたいのです」
「つまり異世界に転生してほしいって話ですか?」
「そんな感じです」
「異世界って言ってもどんな所ですか?」
「ドラゴンや魔法などが存在する、ファンタジーの世界です」
やっぱ異世界ってそんな感じか、特撮ヒーローがいるような世界ではなさそうだ。
異世界系が好きな奴なら子供のように喜ぶんだろうな、俺も別に異世界系嫌いなわけじゃないんだけど、自分から進んで読む程好きではない。
「それと、今回は私達の都合で異世界に転生するのですから、もしも転生を承諾していただけるのでしたらどんな願いでも1つ叶えて差し上げます。」
・・!、良い事聞いた、それならこの世に置いてきた未練を叶えて貰うとしよう。
「それなら今日俺の家に届くはずのPBT版ステージドライバー&キー・ウエポン コンプリートセットを転生先に持っていきたいです」
「・・!、それでは転生していただけるのですか?!」
「それ以外、道は無さそうですからね」
「分かりました、それでは転生の準備をしてまいります。準備が出来ましたらまたこの部屋に戻ってきますので、しばらくこの部屋でお待ちください」
「分かりました、宜しくお願いします」
「では、失礼します」
それから30分後ぐらい経つと、ベルナデットさんが戻ってきた。
「転生の準備が出来ましたので、別室に案内致しますのでついてきて下さい。」
連れて来られた部屋の床には、大きな魔法陣のようなものが書かれており中心部分には、何やら大きめのカバンが置かれていた。
そしてカバンの置いてある位置に立ってくれと言われたので、置いてあったカバンを拾ってそれを肩に掛けていると、床の魔法陣が当然ひかりはじめた。
あまりにも眩しかったので、目を閉じた。
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光りが弱まったので目を開けると、さっきまでいた部屋ではなく自然が生い茂る何処かの一本道にいた。
どうやらここが異世界なのだろう。多分さっきの魔法陣で異世界に転生させる魔法が発動したのだろう。
自分の身の回りを確認するとベルナデットさんにお願いしてあった「PBT版 ステージドライバー&キー・ウエポン コンプリートセット」と書かれた段ボールが置いてあった。
俺はこのワクワクした気持ちを抑えられずにはいられなかった。段ボールのガムテープの部分を爪でひっかいて中身を取り出すと思わず声が出た。
「おぉぉ!・・・・・?」
しかしそれと同時に何か違和感を感じた、周りを見渡しても俺以外誰もいないはず・・。
でも確かに女性の声が聞こえた、女性というよりは幼い女の子のものだろうか?
「ま、まさか・・・・」
俺は何か自分の姿を確認できるものがないか、バックの中を漁った。バックの奥の方に小さい手鏡を見つけた。すぐそれを手にとり、鏡を見た俺は驚くものを見る事になった。
「何でこの子が・・・、もしかして俺!?」
鏡に映っていたのは、転生前に俺が助けた筈の純白な髪の少女だった。
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