第71話 地球に起きている事
「まず、地球だが……ほとんど死んでいる状態だ。崩壊の進みがかなりはやい。」
…………は?
「「は?」」
僕は、青年のあまりに突拍子のない言葉に、思わず声が漏れてしまった。楓さんも、同じように声を出したから同じ気持ちなんだろう。
まだモンスターが存在するようになって一年もたっていない。魔力崩壊は何億年も経たないとしないっていっていたから安心だって、勝手に思い込んでいたけど、それは違っていた?
どういうことなんだ?
「ど、どういうことなんですか? ナビゲーターの話では、何億年も経たないと魔力による崩壊は始まらないって……」
「いや、これは魔力崩壊が原因じゃない。僕と同じ世界の人間……まぁ、君たちからみたら異世界人直接の攻撃が理由だ」
「…………っ!」
僕は、驚くと同時に苛ついてしまう。この青年やナビゲーターのような味方は違うが、それ以外の他人事のようにしている異世界人が。確かに他人事だ。でも、自分の、自分たちの世界を他人事のように破壊しようとしているのは……
「……許せない。どういうことです、直接攻撃しているって?」
「……この星の人間を、地球から追い出そうとしているんだ。でも、ワープとかするにしても、時間がかかる……そう考えた人は殺すことで消そうと、そう考えたんだ」
「…………え?」
面倒くさいから、僕たちを殺すのか?
「ここの星の人は戦う術がないことを調べていた。だから、モンスターを送り込むことでここにいるやつをすべて殺そうとしてきたんだ」
「なんて自分勝手な……っ!」
「あぁ、僕もそう思う。同じ異世界に住むものとして謝ろう。本当にごめん」
と、青年は頭を下げる。
「いや、あなたは違うんですから、顔を上げてください。これを阻止しようとしてくれているんですよね? それなら、感謝しかないです」
「……そうか」
それにしても、この人を除く異世界人はおかしいだろ……。人を殺すことを躊躇っていない。
それどころか、モンスターが殺しているんだから俺は人なんて殺してないって言われているような気がして……腹が立つ……っ。
「そして、あとこの星の時間で3ヶ月ほどくらいかな? それくらいの時間に、この世界に異世界人はやってくると思う」
「3ヶ月……ですか」
「あぁ、そしてそれでも生きている地球人がいたりしたら、奴隷として使われたり、モンスターの一種として扱われる可能性が高い。」
……人間をなんだとおもっていやがる……
「……それで、それらの厄災を阻止する方法はあるんですか?」
「あぁ、あるさ。見つけられたのは1つだけ、なんだけど。さっき使ったスキルから分かったかもしれないけど、僕の職業はシステムエンジニアなんだ。ほらね」
ピッ……
システムエンジニア(最上位)Lv254
は……? 254レベル?
「え……? 職業レベルって10が最大じゃないんですか?毎回レベルを10にするたびに進化するからそういうものだと……」
「あぁ、違うんだ。ユニークジョブはね、何回も何回も何回も何回も進化させて()の中に最上位とでると、レベルが10以降に上がるようになるんだ。他の職業だと、転職という形になってしまうけどね」
そうなのか……。……って、え?
「え……ってことは、僕の引きこもりって……!」
「あぁ、それはユニークジョブだね。それにしても、君が引きこもりを職業としたのか。へぇー」
……そ、そうだったのか……。じゃあ、やけに引きこもりが職業を選ぶときに引っかかったのには、なにかユニークジョブだという証拠をどこかで見ていたのか? 意識とは外れたところで。だから、なにか引っかかった……のか?
《それにしても……引きこもりはユニークジョブだったのですか。なるほど、見たことないスキルだと思いましたよ。》
……え? 知らなかったの? なんか知っているふうに話していたよね?
《いやー……恥ずかしながら。だから、引きこもりという職業を選んだときには間違っていたらどうしようってすごいビクビクしていましたよ。》
あ……そう。そうなの……
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