第52話 悪魔の呪い?
「ん……?」
僕が目を覚ますと、どこか知らないところへ寝ていた。ダンジョンの壁とかがないのを見る限り、ダンジョンの中ではないのだろう。
「あ……よかった……!」
「か……楓さん? ここはどこ?」
「私の家だよ。急にダンジョンの穴が消えて千尋くんが出てきたからびっくりしたよ。しかも、気絶していたからね。そして……さらにびっくりしたのは1週間も眠っていたことも」
「1週間……?」
そうか……1週間も寝ていたのか。それにしても、ダンジョンの穴が消えて、僕が急に出てきた? よく分からないけど……戻れて良かったぁ!
あそこはどこなのか全然分からなかったから。あそこにいたままなら、絶対に迷っていたよ。
僕は、起き上がると、この1週間の間何かあったのか聞いてみることにした。情報はやっぱり大事なものだから。
「……そ、そうだ。楓さんのお父さんは?」
「それが……まだ目を覚まさないの。一応生きているようではあるんだけど……」
何か……あったんだろうか? ナビゲーター、もしお父さんが何かあったとしてそれを調べることできるかな?
《……まぁ、場合によりますけど、見分けられますよ。だって、私はナビゲーターです。導く者なんです。知らないものなんて、ないんですから。》
あったじゃん……。あの悪魔のときとか阻害されて分からなかったって言ってたじゃん……。
《いや……それは……しょうがないですから。》
うーん……まぁいいけど。分かるってだけでも僕ってラッキーだなって思うから。
《ありがとうございます。》
「……で、一旦お父さんの容態を見せてもらってもいい? 分かるかもしれないから」
「本当に? じゃあ……こっちに来て」
そして、僕はお父さんの寝ている部屋へ連れてこられた。そこでは、お父さんが静かに寝ていて、お母さんが面倒を見ているという感じ。さっきまでの僕と楓さんだなって思ってしまった。
……さっきまでの僕と楓さんと同じ? それって……夫婦……じゃないっ! なんで、こんな事態にこんな事考えているんだよっ! 僕は馬鹿か!
「すみません、お母さん。一旦お父さんの容態を見せてもらってもいいですか?」
「え……えぇ」
そして、代わってもらえた。
じゃあ、ナビゲーター。今のお父さんの容態が分かる? 今、どんな状態なのかとか。
《……あぁ、これはあの戦った悪魔の呪いか何かでしょうね。》
え、呪い? まぁ、悪魔だからな。でも、死んだら消えるとかないの? 死んでしまったら、その呪いはなにも影響を及ぼさない……みたいな。
《ありませんね。でも、簡単ですよ。だって、聖属性のスキルを使える人がここにいるんですから》
あー、なるほど。呪いを浄化するみたいなもんだね。
《生活魔法…聖》
パァッ……!!
そして、僕の聖属性のスキルの光をお父さんに向けて当てると、なにかお父さんの身体から黒い気体? のようなものが出てきて、そのうち消えていった。
多分、さっきのが呪いだったんだろう。お父さんは、「うぅ……」と言葉を発し、意識を取り戻したようだった。
「……よしっ」
「す……すごい……」
「お父さん、お父さん!」
「あ……楓か。……おかえり……」
「うん、ただいま」
そして、お父さんの容態が完全に良くなると、お父さんは起き上がって、みんなでリビングに移動した。なにか、話すのだろうか?
「君が……私を治してくれたのか?ありがとう」
「あ……まぁ、はい。ど、どうも」
「……ふむ。よしっ、楓は君にやることを許そう。結婚、おめでとう」
「……はい…………って、はっ!?」
「なんだ……? もしかして、ここにきたのは結婚したいからとかではないのか?」
「いやいやいや、違いますって!」
「そうだよっ! 違うから、お父さん!」
そこまで否定されると傷つく……。
「そ、そうなのか。では、どうして君たちは?」
そして、お父さんにお母さんにも話したことと同じことを話した。アパートが一緒で〜……みたいなこと。
「す、すごいな……きみは。私だったら、そんな人生歩んでいたらもう死んでいた気がするよ」
「いやいや、そんなことはありませんよ」
そして、今日は1日泊めてくれることとなった。楓さんは、僕と来てくれるらしいから、せめてお母さんやお父さんといろんなこと話したいだろうし。
それに、悪魔を倒したときに聞いたいろんなことについて調べてみたかったから。
晩ごはんを今度は楓さんの弟や妹たちとも一緒に食べていると、楓さんはお父さんやお母さんといろいろ盛り上がっているみたいなので、静かに僕に用意された部屋へ向かったのだった。
……ちなみに、楓さんの家族はお父さんにお母さん、楓さんに弟2人、妹2人の7人家族らしい。
弟や妹はまだ小学生くらいで、すごいハチャメチャだったので、大変だったけど、久しぶりに大勢でご飯を食べたりできて、嬉しかった。大勢で食べると美味しいんだなって、実感することができた。
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