第49話 ダンジョンの管理者
「どこに行くのか……試してみるか」
そして、僕は僕の下に落ちてある、ダンジョンの壁の欠片をまた持った。
そして、今度は……
「《生活魔法…火》《探知…付与》」
この2つのスキルを使った。生活魔法は、前に説明した通りなんだけど、探知は、人を探したりするスキルだ。だから……それを、石に付与すれば……何処に行くかを確認することができる……!
《ダンジョンマスターにより阻害されました。探知不可能です。》
「…………は?」
ダンジョン、マスター……? そんなの知らない……なんなんだ? このダンジョンには管理者が存在している……?
確かに……ラノベで見た中にもそういう設定のものはあったんだけど。……でも、そうなると、どうすれば特定することができる……?
どうすれば……?
何も……方法が思いつかない……。
《ダンジョンマスターの権限により、青柳千尋…そして…高木楓の真下に転移トラップが設置されました。》
…………えっ、おいおい。なにを……!?
その瞬間、僕と楓さんの真下に魔法陣が現れたかと思うひまもなく……どこかへ転移された。
「ど、どこだ……ここ? そうだ、楓さんは……」
「大丈夫だよ。怪我はないようだし。それにしても……なんなの?」
「分からない……」
「…………あっ!お父さん!」
「はっ? お父さん……?あれ、僕が投げたはずの石がここに落ちてある……。なんでだ?」
そうか……ここは……
「あのトラップの転移地点……!?」
これは……まずいな。楓さんやお父さんは転移で帰られるんだけど、僕が帰ることができない……。でも、ここの出口をしらない……。
その時だった。
パァッ……!!!
魔法陣か? なにかがまた転移されてくるのか?
「あれは……悪魔?」
魔法陣が出てくると同時に出てきたものとは、悪魔のようなモンスターだった。いや、もう悪魔のようなモンスターというよりは……悪魔だ。
本で書いてあったことなんだけど、悪魔は人型で青黒っぽい肌、羊の角、コウモリのような羽、釣り目、鋭い爪、牙、尖った耳という感じの見た目らしいんだけど……それらの条件がすべて含まれている。あれが悪魔じゃないのなら、なんだって話だ。
あれか…………っ! お父さんをここまで連れてきたのは何の目的なのかは知らないけど……戦うしかない。
でも……無理かも。危機感知が……おかしいほど僕にやばいやつだと教えてくれる。
こうなったら……
「楓さんは逃がすよ!」
「えっ!? でも……」
「楓さんは死にたいの!? お父さんを殺したいのか! ……僕を、悲しませたいのか!」
「……わかった」
「じゃあ、行くよ《転移》」
そして、楓さんとお父さんを転移させると、僕は悪魔の前に立った。
ダンジョンマスターは、スキルによっての2次災害は阻害できるけど、スキル自体にはなにもできないらしい。それは、本当に良かった。
「できるだけ……逃げる方法も頭の隅に考えておきながら勝つ方法も探す方法で行くか」
でも…………この状況はまずい。
隠れるところがまったくない……。隠れて攻撃の奇襲が得意の僕にあまりにも不利な状況だ。
今から隠れることができるといいんだけど、あの悪魔の視界の中に入っているままスキルを使っても、見えてしまうだけ。
視界から外れようとしても、多分無理だろう。でも、一応可能性もあるからそれも頭の隅に置いておくけれど。
僕には得意技もなにも使えない……。それでいて、もとのステータスも多分あっちのほうが高いだろうから……
僕の方のメリットが1つもない……。
「…………詰んだ。」
でも……ただでは死なない。こんな最悪の状況であっても、生きる方法を探してやる……!
《肉体強化》《生活魔法》《幻術》《結界》《アイテムボックス》《重量軽化》《体術》《空間操作》
……僕のスキルの中で使えそうなスキルはこれくらいだよな。
この中から、何個か攻撃方法は思いついたけど……とりあえず、なにかの攻撃でダメージが入るかもしれないし……
「……よしっ、やってみるか」
「ソロソロオワッタカ?」
「……え? 喋った?」
知能を持っているって言っても……喋るのか?
そういえば、僕が考えている間、なにも攻撃が来なかった気が……。それにしても……待ってくれてるってことは、この悪魔、案外優し…………くないな!?
なんか、悪魔の手から黒い球のようなヤバそうなやつがでている。こいつはもしかして、戦いを求めて戦う! みたいなやつか!
「…………はぁ。これなら、案外殺すのやめて……なんてないよな。あのヤバそうな技を使っているだけでも、殺そうとしているとしか思えない……」
ちょっと予想外のことはあったけど……ま、死ぬことにはもうほとんど間違いないし、せめて頑張ってやってみるか。
「ただでは死なないよ。悪魔……!」
「ノゾムトコロダ」
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