第48話 トラップの石
うーん……聖属性、か。人が生きているということを想像。
……やっぱり意味が分からない。生きているということを想像……つまり、人間はなんで生きているのかとか考えればいいのかな?
心臓を中心として……血液の流れを考えて、他の臓器やらなんやらを想像する……そして、心臓の力? そんなものを表面に出していくような……
パァッ……!!
「………よしっ」
そして、それを……あのゾンビに向けて……!!
「グガァァアァァァァアァ……!!!!」
叫んでいるのか、喋っているのかわからない声のトーンで言葉らしきものを発すると、次はちゃんと消えていった。
「……あれ? 経験値が入らない……あっ、そうか。最初に倒したときに入っていたな」
「なに……? さっきの光……?」
「あぁ、生活魔法の聖属性のやつなんだって」
「へぇー、すごいねぇ」
相変わらずのチートにもう見慣れてしまっているのか、楓さんはさほど驚いたりはしなかった。
「ありがと」
ダンジョンは、まったく違う種類のモンスターなんて出てこないはず……となると、ゾンビ系のモンスターばかりっことになるよな。厳しそうだ。
ステータスを見たのだけど、生活魔法なのにマジックポイントを火を出すときよりも2倍近く消費していた。
できるだけ……戦わないという方法でいくか。
「ねぇ、ちょっと僕に捕まってて」
「えっ……? どういうこと?」
「いや、できるだけモンスターと戦わないようにしないといけないから……ってかそうしたいから、走ろうと思って」
《俊足》
「わ……わかっ……って、うえぇ!? キャアアーーーーーーー!!」
「うおっ!」
予想以上な速さだな。でも、これならなんとかなりそうだ。中間にいたりするボス? モンスターなんていても、これなら楽勝だな。
ん?
「はぁ……はぁ……、なに?」
「いや……」
僕は、止まってさっきの気配を確認した。
なんだろう?
ってか、それにしても……楓さんはなんで走っている本人よりも疲れているんだよ。
これは、気配感知……じゃなくて危機感知が何かを知らせてきているのか。ってことは、モンスターなんだろうか?
「ちょっと、一回おりて」
「……はぁ……はぁ……うん、分かった。」
「《危機感知》」
……いや、でもやっぱり生命反応はここらへんでいえば僕たちだけしかいない。
となると……やっぱりあのー……
「石……か」
一際目立つから、すぐに分かった。すごいきれいな壁があり、すごいきれいな天井があり……なのに、なぜか一部分だけ岩がでている。なにか、トラップなのだろうか?
「……試してみるか。《肉体強化》《体術》そして……おりゃっ……」
バンッッ!!!!
ダンジョンの壁は硬いと言われているために、肉体強化と体術のスキルを使って壊すと、砕けた石をトラップらしきものに向かって投げた。
「……なにもおこらない。なら……」
そして、今度はかけらを持つと、《生活魔法…火》を使い、石を温める。
このトラップは、もしかしたら生き物に対してしか反応しないものなんじゃないかとおもったからだ。だから、そのために人間の体温に近付けるために温度を上げた。
そして、投げた。
「…………正解か」
石がトラップらしきものに当たると同時に、地面が光り始めて魔法陣? のようなものができた。
そして、消えた。
「あれ……なに? 石が消えてったよ?」
「これは、トラップだね。あの石に触れると、どこかへ転移される仕組みのものなんだろう」
「ん……? ってことは……!」
そう……これは……
「楓さんのお父さんがこれに当たってどこかへ転移されたに違いない」
そうすれば……すべてが納得行く。この街には、僕と楓さんが住んでいたアパートよりもモンスターが存在しない。
つまり、あまりレベルをあげられない。だから……このダンジョンの奥深くへ行く可能性は低い。大抵は……浅いところで死んでしまう……。
でも、幸いなことにいなかった。けれど、それと同時におかしかった。でも……これで分かった。ここはまだ一応ギリギリ浅いといえるところだし……間違ってこれに触ってしまったんだ。
……ダンジョンで死んだらモンスターと同じように消えてしまうということが、ないのなら。
「どこに行くのか……試してみるか」
そして、僕は僕の下に落ちてある、ダンジョンの壁の欠片をまた持った。
楓さんのお父さん……どうか……
生きていてくれ……! 見つけていたときには死んでいたなんてこと……あってはならない……!
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