第30話 いざ、学校へ! 2

「とりあえず……まずは僕の教室に行ってみるか。もしかしたら、誰かが何か必要そうなことを話してたりするかもしれないし……。ねぇ、いいかな?」


「あ、うん。いいよ。でも、その後に私の友達のところへ行っていい? ここにいるのか心配で……。ちゃんと生きているのかな……?」 


「生きていると思うよ。……いや、絶対に生きてるから、安心して?」


「うん! ありがとう!」


「じゃあ……さっそく行くか……」


 僕は、最初に避難している人が集まっていそうな体育館に行こうとしたのだけど、緊張したので、まずは少なそうな教室に行ってみることにした。


 これは……バリケードなのかな?


「なんだろう……これ?机を並べているけど……。」


「多分、バリケードだろうね、弱い人もいるだろうから、学校にモンスターを入れないようにしたんじゃない?」


「へぇー。結界はっていたから全然気にしなかったよ」


 アパートにはとりあえず入ってこれないようにするために、結界張りはじめてからは全然気にしてなかったなー……。


「えっ……!? 結界張っていたの? 全然気づかなかったんだけど……。まぁ、やけにアパートには敵が来ないなーって思ったけど。まさか……千尋くんのおかげだったんだ……」


「まぁ、そうだけど……?」


「はぁ、気にせずにふつうにティッシュをティッシュケースから取るくらい当たり前のように、人外な魔法を使ってるのって……やっぱりチートだ……」


「……?」


「じゃあ、入る?」


「うん。そうだね」


 まずは僕の教室に、隠密系のスキルを楓さんにも同じく使い、隠れて教室の方へ向かった。


「ここからは、あんまり喋らないでね」


「……うん、わかった……」


 えーっと……《探索》


 ……教室に人は……またあのスーパーで会った4人の少年少女たちと先生が、なにか会話……作戦会議かな? をしているようだった。


 なんだろう……?


 《聞き耳》


「最近、……食料がだんだん足りなくなってきてるよ、どうしようか?」


「そうそう、コンビニとかまわってみたんだけど、半分以上がなくなっていたんだよ。」


「それは……緊急事態だぞ?」


「あぁ、2週間もあれば……ここにいるすべての避難民の食料がなくなってしまう。」


「どうしようかな……?」


「ねぇ、探さない? その……私たちと同じく食料を集めている人を。それで交渉して食料を分けてもらうの」


「それは……いい考えだな。そうと決まればさっそく公民館とか小学校とかまわってみるか……」


 うん、僕は狙われているんだね。


 …………は? なんで? ……って、あぁそうか。僕が持っている大量の食料を狙っているんだったな。


 まぁ、少しくらいならあげてもいいかな? 毎回節約していたら楓さんとずっと食べていても、一生分くらいあるからね。


 それに、他の街に食料を集めにいけば、さらに集まるしな。


 でも……なくなったら……楓さんを養えなくなるし……それに、家族の分も集めないといけないからね……。


「人に情けをかけちゃいけない……ふぅ……そうしたら、なんどもなんども頼まれて……僕は断れなくなって……」


 そうすれば……


 ……ふぅ。ごめん、みんな。僕には……無理だ。やっぱりこの食料はあげることはできないよ……。


「じゃあ……僕が狙われているっていうのが分かったし……そろそろ行こうかな。」


「……うん……でも……本当にいいの?久しぶりの人でしょ。スーパーでも人と会ったらしいけど」


「あぁ、それがこの教室にいる人たちなんだ」


「そうなんだ……あの人たちが……スーパーで出会った人なんだ……」


「よしっ……もう行くか」


「分かった」


 そして、僕らは僕ら以外の誰にも知られることなく、この教室を離れたのであった。

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