第25話 オーガに出会った日

「食料もだいたい集め終わったし、次は娯楽とかなんかしたいと思うんだけど。楓さんは、どこに行きたいとかある?」 


「うーん……とりあえず、ラノベ見に行かない? 今なら、店員もいないし、無料でもらえるよ。ふふっ……」


 なんか、楓さんが悪人に見える……。


「それをだめって言ったら、食料を取っている時点でおかしいし……行くか。僕も行きたかったし」


「おぉー!」


 えっと、前にショッピングモールに行ったのが結構前だから覚えてなかったけど、本屋だけはよく行っていたから……なんとなくは覚えてんだよな。


 でも……どこだっけ? まぁ、とりあえず行ってみるとするか。


 そして、僕は途切れ途切れになってよくわからない記憶を辿って行ってみると、意外にもかんたんに着けた。


「おー……!」


「おーっ!」


 僕の記憶、結構万能だな。なんか、すげー……


 なんて自画自賛していると、楓さんが本を見に行っていたので、僕も見に行こうとしたのだけど、ここがモンスターのいる世界だと思い出し、正気になった。


「……まぁ、楽しみにしている楓さんを心配させるわけにもいかないし、安全のためにここらへんのモンスターは殲滅しておくかな」


 ねぇ、ナビゲーター。モンスターの数はどれくらいなんだ?


《えーっと……食品売り場のところとは違って、本屋とその周りも含まれているんですよね。それだと……あっ!》


 ん? なに?


《あの……ゴブリンが10何匹かいるのは問題ないんですけど、問題があるのは次のことで……なんと、オーガがいます……。》


 オーガ……か。アニメとかでは、角がある巨人の鬼みたいなイメージだよな。それに、金棒みたいなものを持って……


《いや、あのー……オーガのイメージは、だいたいあっているんですけど、金棒は持ってないです。その代わりに、刀を持っているんですけど……。》


 おー……。なんか近代的……。


 今の僕だったら倒せるかな?


《……初めに気づかれさえなければいけると思います。しかし、バレてしまったら、分かりませんね。勝つには、もう1レベルを上げれば有利になるとは思いますけど。》


 じゃあ、オーガは後で倒すということにするか。先にゴブリン倒しといたほうがいいもんな。挟み撃ちなんてことになったら、未来には死しかない。


 ……はぁ。やっぱり死は怖いな。


「まぁ、僕もできればラノベ見てみたいし、急いで倒しに行くかな」


 そして、僕はスキルを片っ端に使っていって、どんどんどんどん……オーガ以外のここの周りにいる魔物を、倒しに倒しまくっていった。


 もっと……もっと……!


《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》


《経験値を獲得しました。》

《経験値が一定に達しました。》

《青柳千尋のレベルが17から18に上がりました。》


「よしっ、やっとレベルが上がったぁ。本当に上がりにくいよな」


《そうですね、そのおかげでこの周りにはオーガ以外モンスター居ませんよ。でも……その代わりに、オーガに何かいると存在はバレてしまったようですが。》


「うぅ……」


《でも、不意打ちで攻撃しちゃえばいいんですから、おそらくは。》


「……まぁそうだね。」


 よしっ、行くかな。


 そして、僕はナビゲーターのナビゲートを頼りにオーガのところへ向かった。


 ……後で思ったことなのだけど、これがあるなら先に言えよっ! 本屋に行くのも、これですぐに行けたじゃないかっ! って思いました。うん。


 でも、いまはそんなことを考えている暇はない。だって、失敗すれば、命を落としてしまう可能性があるのだから。


「……ふぅ、……ふぅ」


 よしっ。もう覚悟はできた。絶対に倒してやる。それに、まだやり直したことがあるし。


 楓さんと一緒にすごしていきたいし、ワイバーンを討伐したいし。


「《気配遮断》《肉体強化》《敵意感知》《危機感知》《望遠》《聞き耳》《潜伏》《結界》《無音結界》《無臭結界》《逃げ足》《俊足探知》……!」


 僕は、名いっぱいの隠密系スキルを使うと、僕は刀を持っているオーガに向かって走り出した。

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