この演劇部に何かを求めるなら青春を求める!!+α
文月紅凛
第1話 入学を求める!!
一人の少女が眠る部屋。人形や化粧ポーチなどがところどころ散らかってはいるが、片付けられているところもある。
早朝、日の出が輝く6時ごろ携帯のアラームが鳴る。うるさくて仕方ない携帯の音にイライラしながら起きる。
「ふぁあ、二度寝したい。」
ベッドから降り立ち、階段を降りると、母親がエプロンをつけリビングで朝の一品をテーブルに置いていた。
「ママ、おはよー。」
「おはよう。ついに入学式ね!お母さんも観に行くからご飯食べ終わったらいきましょう!」
「うん」
テーブルに並べられた料理。その前に洗面所へ歯を磨きに行く。
「うわぁ、寝癖やばい。」
鏡に映った自分をみて寝癖のやばさに驚く。歯を磨き、寝癖をブラシやヘアアイロンなどで整え食事へ。
食卓に並べられた料理はベーコンエッグにトースト。サラダといった健康に気を使っている母の手料理にデザート。
「頂きま〜す。」
咀嚼しながら、噛む。栄養はバランスよく摂らないと授業中居眠りに繋がったり、太ったりとデメリットばかり。そして朝食後のデザートのプリンも頬張り満足気に満面の笑みで食べ終わる。
「ご馳走様!」
皿を流し台に置き、登校の準備に移る。自室に戻り、紅将ヶ学園の制服に着替えて、指定バックに学園から出された提出物を入れ、その他の必需品も入れる。
「ママ、準備出来たから行こう。」
「ちょっと待って、レイ後もう少しだから」
母は顔というキャンパスにお絵かきがまだ終わっていないようで、華麗はリビングで朝のニュースを観る。
「ニュースです。今日演劇の強豪校と名高い福神ノ学院の入学式が行われます!入学生の気持ちを聞いてきました。」
「入学してどう思いましたか?」
「私はこの学院で誰よりも美しく感動させられるような役者になるためにきました。この学院に入学できて幸せです」
インタビューを受けている学生は美の象徴・結晶ともいうべき女性だった。
「レイ、お母さん終わったから、いきましょう!」
ニュースの途中で母の支度も終わったようだ。テレビの電源を切り玄関前で靴を履いて外に駐車してある車に乗る。
「では、記念すべき入学にレッツゴー!」
拳を上げ異様にテンションが高い。愛娘の入学ともなればその反応も頷けなくもない。
車を走らせ紅将ヶ学園を目指す。彼女【
紅将ヶ学園の偏差値は学科によって違うが普通科演劇コースは61で彼女と同じ偏差値なのでギリギリ合格したので等の本人は今も実感が湧かない。
入学して馴染めるか。自己紹介で事故らないか。不安を抱きながらもその真逆の感情も、ワクワクとドキドキが止まらないという奴だ。
考え混んでいるといつの間にか紅将ヶ学園が見えてきて、サクラ舞い散る校門の前で警備員が誘導を行なっている。警備員の指示で校内に停めて紅将ヶ学園に到着した。
煉瓦造りの紅将ヶ学園。広い一本道に桜の街路樹が春を感じさせる。その前には在校生たちによる祝いの歓呼の声が、打ち上げ花火のように響めき胸に打ち込まれる。
「入学おめでとうございます!!」
「手続きはこちらでーす!」
「華やかでいいわね!レイ」
「うん」
玄関前の手続きを済ませて、案内人が体育館の場所を指し示しながら、体育館へ歩む。すると教師らが飯田指定した席へ向かわせ座る。
入学式…この紅将ヶ学園生徒となる儀式なわけで、どんどん同期生達が集まってくる。すると首輪を付けた低身長で茶髪のチワワのような男が目の前を通りかかり、こちらを見つめて匂いを嗅ぐと『違う』と言い放ち、武者震いに襲われ鳥肌が立ち始めた。
「まだこんなに居るし!!ご主人様!まっててください!!」
そう言い残し、後ろの席に座った。他のクラスメイトも順々と席に着いて、時間になりチャイムの音と共にそれは開始された。
「開式の言葉」
「令和32年度、
「代表新入生紹介」
「新入生代表挨拶
「はい!」
勢いの良い返答する朱鳥という少女の方を見ると、眼帯に左手の甲には包帯が巻かれていた。その姿は云うまでもなく中二病である。
「暖かな春の訪れとともに、私たちは紅将ヶ学園の入学式を迎えることとなりました。本日はこのような立派な入学式を行っていただき大変感謝しています。
紅将ヶ学園での3年間ということできっとあっという間に過ぎていくことと思います。無駄のない勉学に励むことはもちろん、部活動も頑張りたいと思っています。
そして生涯付き合っていけるような戦友を…ゴホン、友を作ることができたらなと思っています。
先生方、それから来賓の方々これから厳しいご指導のほどよろしくお願いします。時には間違った道へ進もうとしてしまうこともあるでしょう。その時は優しく力を貸していただけると幸いです。」
勝ち誇った顔で代表の言葉を贈り優雅に降壇し、観るものの古傷を蝕む。式は国家斉唱へと移り式は着々と進み終わりへと近づいていった。
「担任紹介」
「1組普通科。大塚美代子。2組普通科。高瀬雄介。3組…」
「1組だからあの女の先生か。」
見た目年齢は二十歳ほどで美人というよりも、可愛いに近くゆるふわな髪に満月のような丸く幼気な目をして、幾つもの男性の心を撃ち抜いていそうな容姿。
そうもこうもしているうちに、担任紹介は8組の最後まで紹介されていた。
「8組教育科。二階堂源也。以上が皆様の担任となる先生方です。」
「閉式の言葉」
「以上を持ちまして、令和32年度紅将ヶ学園入学式を閉会いたします。新入生の皆様は担任の指示の下教室まで移動いたします。」
新入生は担任の後について行き長蛇のように長く連なり、各自教室まで移動する。担任、大塚先生の指示の下教室の椅子に腰掛ける。
「みんな、名前を呼ばれた人から席に座って」
「明石夏海さん。」
先生は名簿を見ながらクラスのみんなを称呼し終え、次に先生は挨拶を始めた。
「はい!皆さんおはようございます!担任の大塚美代子です。趣味は演劇観賞で観るのもするのも好きです!他に先生に何か質問ある人!」
「はい!」
「えーと、佐々木くん」
「先生は独身ですか?」
担任は左手の薬指を見せつけ「独身です!」とカミングアウト。
「次は誰かある?」
「はい」
「宮本さん」
「先生の年齢は?」
「精神年齢は16歳です。歳は20歳なのでみんな気軽に接してね!」
クラスに質疑応答が飛び交い先生の自己紹介も終了した。
「みんな先生の色んな事聞けたと思うので次はみんなにお願いしようかな。じゃあ、明石汐梨さん」
「明石汐梨です。趣味はゲームで色んなのやってます。よろしく!」
「暁月夜魅。趣味は読書。よろしく」
クラスの名が呼ばれて。同じ趣味の人違う趣味の人、はたまた変な趣味の人がいた。そうあの首輪をつけた男の子。
「犬飼啓です!趣味は誰かに尽くす事!この首輪はいつか大切な人に“犬”として純朴にその人に従うという意味合いを込めつけているんです!」
沈黙の後、担任が苦笑いで拍手を。小雨の音に近い拍手だった。
私はここに楽しい入学を求めに来たのに…私はアイツには近づかないと思い定めた。
【序章 第一話入学を求める 完】
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