第3話

それからの俺の毎日は退屈な日常だった。

毎日やる事は違うけど同じような事を変わらない日常。

俺は此処に来る時父親といくつか約束を交わした。


父親は俺に跡継ぎになって欲しがっていた。

跡継ぎになり嫁を貰い、子を産ませたがっていた。

だから、嫁は俺が選ぶ事と学生の間の自由を約束させた。

まぁ、監視役はついてるが別に構わない。

俺は蘭に会いたいんだ。触れたいんだ。笑顔を見たいんだ。

定期的に俺の部下に調べさせて大人になっていく蘭を見ていた。


俺は親父に似て顔が整っているからか女は嫌というほど寄ってきた。

でも違うんだ。やっぱり違うんだ。彼女じゃない。

蘭じゃないと駄目なんだ。


「藍、お前高校どこ行くか決めた?」


「勿論」


高校は学区なんて関係ない。

やっとだ。やっと蘭に会える。

蘭が志望してる高校はもうわかってる。


「オレも藍と同じ所にしようかなぁ

どうせオレ藍の下で働く事になるし」


唯一中学生活で友達になった竹下 聡。

今まで寄ってきた奴と違った。ナニガ違うか説明は出来ないけど俺に近いモノを感じた。


「深雪はどうすんの?」


「は?一緒に決まってんじゃん。

何言ってんのー?」


それは多分彼女に対する態度とかなのかと最近思う。

聡は自分のモノに出来た。何度か会えないイライラを聡にぶつけたが後悔はしてない。

深雪は何度か会ったが化粧はケバいがビビリですぐ漏らす女っていう印象。

聡的にはそこが可愛いらしいけど。


「学力足りてんの?」


「………ねぇ、藍君!「いやだ。」まだ何も言ってねぇじゃん!」


「言わなくてもわかる。

俺に何のメリットがあんだよ」


「藍は女心がわかんないじゃん。

その点深雪は女だよ?それに陰湿なイジメとか起きたら多分情報掴むの早いのは俺と深雪な。」


確かに。

ちょっと話しただけの女が苛められてるのを何回か見たなぁ

どうでもいいから放置してたけど、蘭に何かあったら困る。


「仕方ねぇな。その代わり絶対情報獲得してこいよ。」


「俺と深雪に任せてよ!」


ドヤ顔が腹立つが背に腹は替えられねぇ。




それから毎日俺の家で勉強会が開けた。

情報を得る為深雪が泣こうと漏らそうと猛勉強させた。


「やった……これでやっと地獄が終わる…!!

聡君!私受かってる!ちゃんと受かってるよ!」


「深雪頑張ってたもんな。えらいえらい。」


甘ったるいカップルを無視して蘭の名前を探す。

蘭は俺と同じで名字が変わっていた。親の再婚だそうだ。

三宅 蘭。………よしあった。

辺りを見渡しても受験生が多く蘭の姿を見つける事はできなかった。


「藍!合格祝いしようぜ!」


「いいけど、何処で?」


「1人暮らし始めるんだろう?

家知っときたいし藍の家で!菓子とかは俺と深雪で買ってくからさ」


「いいけど散らかすなよ。特にお前な。絶対漏らすなよ。オムツはいてこい」


「は、はひっ!」


「それじゃあ、先帰る。

住所は送っとくから」


このままここに居たらまた深雪が漏らしそうだし

蘭も居ないなら居る意味がない。

俺は親父から譲り受けたマンションにさっさと帰った。


「後少しだ……」


後少し我慢すれば蘭に会える。

忘れてないだろうか。俺の事はちゃんと覚えているだろうか。不安はある。

だけど、諦めるなんて選択肢俺にはない。

彼女がいい。彼女じゃなきゃ嫌なんだ。


「絶対手に入れる…。」


優しく優しく外堀を埋めて俺の中に来るように追い込む。

後は厳重な鍵を付ければ完璧だ。


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