γ√ 終局


 世界を雨が覆う。長く、開けない雨。

 けれど、開けたときに、美しい虹を咲かせた。



『幸せな、記憶だったね』


(どこかで聞いた声がする...懐かしい声だ)


『けど、それでいいの?』


(...分からない。けど、多分俺は後悔なんてしてない)


『あなたはまだ、やり直せる』


(やり直す...か。そしたら今度は、何を見れるんだろうな)



 凍り付いた世界を溶かすように。

 世界は美しい雨で満ちる。



 そして、雨上がりの空。

 もう一度、音が跳ねた。



『まだ飛べるよ』


(...それは、使命か?)


『何度でも、やり直して、また何度でも、ここに』


(やり直せっていうのか? ...俺に、何を? お間が望むものはなんなんだ? ...そもそも、お前は一体...?)


『そうして、もしもあなたがここじゃない場所へたどり着いたら』


(答えてくれ! お前は...!)


『その時は、私を呼び起こして。...私を、見つけて』



 音が砕ける。

 光が満ちる世界に雨はもうない。


 最後に聞こえた言葉は、どこかで聞いたような声。

 けれど、思い出せない声。


 かすかに、それは響いた。







~それが、私の願い~

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