戦我原と田代君
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2年前ある学校の教室である少年の元にクラスメイトが集まっていた。
「田代君、今日も聞かせて」
「いいよ、今日はなんの話をしようか?」
僕が小学6年生の時、僕のクラスには田代君って生徒がいたんだ。彼は明るい性格では無かったけれど、田代くんの話す怪談はとても面白かった。
当時怪談が学校で人気だったから上手く怪談を話せる人は、クラスの人気者だったんだ。特に彼が放課後に語る怪談は〈放課後怪談〉って呼んで他学年からも聴きにくる人が多かった。だから、彼は学校中の人気者だったんだ。
そんなある日、田代君はいつもの様に怪談を語りおえて、帰る時に急にこう言って帰ったんだ。
「明日…できない」
それが僕が最後に見た田代君の姿だった。その後田代君は失踪した。僕も含めてみんなで彼を探した。そんな中彼がいなくなった日に彼を見かけた子がいたんだ。彼は
「助けて!」
そう叫びながら学校の外に逃げるように走って行ったらしい。しかしそのあと全く見つからない状況に諦めかけていると、一人の女子高生が来たんだ。彼女は田代君らしき人を見たというんだ。でも、その女子高生はおかしなことを言っていたんだ。
「はい見ました。メガネを掛けて黄色と緑のストライプのシャツを着て、黒のランドセルを背負った10才位の男の子が、何かから逃げる様にわたしの元に来て言ったんです。」
その女子高生はためらうように言ったんだ。
「信じてくれないかもしれませんが彼は、 「黒くて白い仮面の奴が追いかけて来る、助けて」 でも、彼の後ろには誰もいなかったんです。それで、 「どうしたの、誰もいないよ」 って言ったら、彼 「うわあぁぁぁぁ」 って叫びながらランドセルを投げ捨てて、走り去って行ったんです。」
それを見た大人たちは怪訝そうな顔をしていたのを覚えているよ。
「それで、あまりに変なことだったので誰にも相談できなかったのですが、彼がまだ見つかっていないと聞いたのでここに来たんです。」
田代君が失踪して1週間後、僕たちの学校である明星第二小学校の体育館のステージ下の倉庫で見つかった。
後で聞いた話だと学校で彼が逃げ出す様子を見たクラスメイトが首無しミイラとなっていた田代君を見つけたらしい。それ以降彼女は学校には来れなくなったよ。警察も調べたらしいけど、犯人は分からずじまいやっぱり警察は無能だと思ったよ。
あの時きちんとなんでできないのか聞いておけばよかったと後悔していたら今度は一年後証言をしてくれた女子高生が同じ状態で見つかったと聞いた。警察が動かないなら僕がやるしかないそう思って動き出したんだ。
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「動き出した?」
志門は首を傾げながら問いかけた。
「そうだ、無能な警察や大人が見逃す犯罪者どもを僕が裁いてあげているんだよ。」
「裁くって、確かに悪いことをしたかもしれない。でもそんな人達だって生きていればやり直せる」
戦我原は呆れながら言った。
「君もそんな戯言を言うのかい?それに時間がない」
戦我原の言葉に時雨が問いかけた。
「時間がないってどういうこと?」
「そのままの意味だよ。こんな下らない話をしている間にも犯罪者が又罪を犯すかもしれない。だから資料だけを早く渡せばいいものを。」
「さっき、約束したばかりだろ。」
「ああそう言えばそんなことも言ったね。分かった、事件解決までだからね。」
「ああ一旦休戦だ。」
そう言って二人握手した。
その後戦我原は裏道を歩いていた。
「どうしたものかな。一応約束してしまったし。」
呟きながら歩いていると道の奥の方で助けを求める声がした。
そこには襲われている男性がいた。その男性に近づき
「早く逃げてください。」
「はい、ありがとうございます!」
襲われていた男性はそう言って逃げようとした
「待て!そいつはうちの女に手を出したんだけじめはつけてもらう」
「キミタチ、だっめじゃないかー。」
「なんだこのガキ!」
1人の男が戦我原に殴りかかる。
「おりゃー!」
戦我原は手を振った。
「ペガサス」
「はっ?何言って…」
そう言いながらその男の首は地面に落ちていった。
「「「わあー!?」」」
突然の出来事に男達が逃げ出そうとすると
「逃げないでくれよ。キミたちも処分することになるから。」
男たちのリーダーらしき男は震えながら言った。
「に、逃げないから、なんでもするから殺さないでくれ」
「君たちみたいなクズに生きている価値なんて…。あっ、そうだ約束があったね。どうしたものか?」
戦我原は顎に手を当てながら考えていた。
「そういえば、何でもするって言ったね」
リーダーらしき男は恐怖のあまり、頷くことしかできなかった。
「じゃあキミたち大人狩りをしないかい。」
「おっ、大人狩り」
「そう、そこのクズみたいな大人達を処分してくれればいいよ。それにこのカードもあげようこれはフェニックスというカードでね炎を自由に操るという効果があるんだよ」
「はははは!これさえあれば俺たちは最強だ。ありがとうございます、兄貴。」
「うむ、有効に使って欲しい。」
「手始めにこいつだ。」
そう言ってカードの力を使い、座り込んでいた男を攻撃した。
「助けてくれ、さっき助けようとしてくれたじゃないか!」
「悪は駆除しなければならない」
中年の男の悲鳴と戦我原たちの笑い声が町に響いた。
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