中学校生活

神社の事件からそれほど立っていないある日


「志門兄ちゃん、宿題教えて。」


「ああ、いいぞ。」


「それで、算数のドリルなんだけど。」


「さ、算数だと。ま、小2の算数なら大丈夫な筈だ。」


九九の問題にキャラメルを使って教えていると


「ピンポーン。」


とインターホンが鳴った。


「志門君、今手離せないから出てくれる?」


「わかった。」


時雨の母の桃子の代わりに玄関のドアを開けると高身長七三分けの真面目そうな男が立っていた。


「誰ですか?」


「刑事をしている、狩谷咲と申します。黒城理仁さんの息子さんですか?」


「は、はい。」


「お父さんに託されていた物を持ってきました。」


「そちらの方は?」


「あっ、桃子さん。」


突然の声に振り返るとそこには桃子がいた。


「私は黒城さんの遺品と届けに来た狩谷咲と申します。」


「わかりました。中へどうぞ。」


「では、お言葉に甘えてお邪魔します。」


桃子と志門と時雨はリビングで狩谷咲と向かい合っていた。


「改めて私は、神奈川県警捜査一課に所属している狩谷咲 真と言います。」


「それで父さんの遺品とは何ですか?」


「これです。」


狩谷咲はそう言いながらUSBメモリーを懐から取り出した。


「USB?」


「はい、俺に何かあったときに息子に渡してくれと黒城さんに頼まれたので。」


「私はこれで。ああ、何かありましたらこの名刺に。」


狩谷咲は名刺を置くと帰っていった。


「これなんだろう。」


「取り敢えず上のパソコンで見てみるか。」


二人は時雨の部屋に行くとパソコンにUSBメモリーを読み込ませた。


「パスワード?志門心当たりある?」


「ヒントはソンって書いてある。なんだろう?」


「これならサン 息子じゃないの?」


「じゃあ俺の名前かっと」


黒城志門と名前を打つもそれではなかったようでブーと音が鳴ってしまった。


「じゃあ、誕生日か。」


「おっ、合ってたみたいだ。」


そこにはこの十年間の様々な未解決事件の資料があった。


「おっ、これ…。」


資料を見ているとある事件の資料が目についた。


「小学生失踪事件、小五、六の時近くで起きたやつだ。」


「あっ、戦我原君の名前がある。」


そして、その次の日


「志門聞いたか!」


「雷電朝からそんな大声出してどうした。」


「あの朱嶺が変死体で見つかったらしいぞ。」


「どんな感じだったんだ?」


「それが近くに焼けた痕跡がなかったのに火傷して死んでたらしい」


「最近おかしな事件多いよな。この前も似たようなことあったし。」


「そうですね、変な事件多いですよね。この前も誘拐犯の車が突然爆発する事件がありましたし。」


「そんな暗い話してないで、別のもっと明るい話しましょうよ。ああ、そういえば雷電の家鳴神不動産だっけ?」


「ああ、横浜では有名らしいな。」


「不動明王だっけ。」


「それを言うなら不動産王だ!」


「樹村君の所はなんだっけ?」


「食堂をしています。カレーが一番人気なので、そのうち皆さん食べに来てください。」


「そういう今宵先輩の家はどうですか?」


「うちはお父さんがDREAM AND HOPE Corporationっいう所につとめてるわ。」


「あのドリホーですか!」


「そういえば志門のお父さんは何の仕事…」


「おい、時雨!」

時雨の言葉に雷電が声を荒げた。


「あっ、ごめんなさい。」


時雨はショボーンと擬音が見えそうな顔をして志門に謝った。


「時雨、気にすることない。安心しろ」


「父さんは所謂ジャーナリストって奴をやっていたんだ。だから世界中を飛び回ってあまり家にいないことが多かったな。それと仕事の時は安全のために黒縄真実くろなわ まことって言うペンネームで活動してたみたいだ。」


「黒縄真実って確か、難事件を次々に事件を解決して話題になってた人でしょ。時効の前日に犯人を突き止めたとかでニュースで出ていたのを見たことがある。」


「黒城先輩のお父さんってすごい人だったんですね。」


樹村が関心していると、志門のクラスメイトが慌ててやってきた。


「みんな、大ニュースだ!!」


息を切らしながら、教室にいた全員にそう叫んだ。


「どんなニュースだ?」


志門がその生徒に問いかけた。


「来たんだよ。」


「何が?」


「戦我原だよ。」 


その生徒が言ったその時、戦我原が教室に入ってきた。


「戦我原君大丈夫?」「2週間も休んでたけど…」


戦我原を心配した女子達が集まってくる。


「少し具合が悪くてね…」


そう言うと、志門の近くを通り、自分の席に着いた。


「志門、戦我原君に何か言われなかった?」


「ああ、放課後、屋上に来いってさ。」


時雨とそう話していると


「お前ら、時間だぞ。座れー」


十文字が入ってきた。


「2週間後に期末試験があるから、しっかり勉強しておけよ。それから、最近おかしな事件が起きてるから、登下校時や外出時は気をつけるように。」


-----

そして、放課後志門達は屋上に居た。

「戦我原何の用だ。」

「エコーのカードを落としてしまったのだけれども知らないかな?」

「それなら、俺が持ってる。」 

「えっ、返しちゃっていいの?」

「当たり前だろ、元々戦我原のなんだから。その前に、戦我原、質問がある、急に返してほしいと言った理由は何だ?」


「志門、どういうこと?返すんじゃないの?」


「におうんだよ」


「ひどいなぁ、僕は毎日風呂に入っているのに…じゃあ香水かな?」


「とぼけるな。俺が言いたいのは、普通ならエコーのカードを落としたじゃなくて無くしたって言うはずだ、それに」


「君たちなぜ僕の前で僕の考察を長々と話しているんだい?」


「「あっ。」」


二人は戦我原の言葉にハッ、とした。


「え、えっとそれで戦我原目的はなんだ」


そして、志門は誤魔化すよう話題を変えた。


「いや、だからカードを探してるって言ったじゃないか」


「そっそういえば、そうだったな。」


「だからカード」


「あっはい、お返しします。」


「返してもらうよ」


「おう、っとそうだ話があるんだ」


「話?」


戦我原は志門の言葉に首を傾げた。


「田代って子が消えた事件だ」


「何故君が田代君の名を知っている!」


戦我原はフェニックスのカードを構えながら叫んだ。


「まってくれ、父さんが黒縄真実なんだ」


「黒縄、なるほど彼か。彼は今どこに彼は事件についてかなり詳しく調べていたはずだ! 」


「いや、父さんは…」


「そうか、そうだったね。なら彼の資料持っているなら見せてくれ。」


「見せるし、協力もするから人をもう襲わないと約束してくれ」


「別に構わないけど、僕は人を襲ったことなんて一度もないよ。」


「何を言っているんだ。この前だって駅で人を殺そうとしたじゃないか。」


「あれは人じゃないよ。悪人はただのゴミだ。ゴミ掃除をしただけだよ。」


志門は戦我原の言葉に声を荒げた。


「なっ、人をゴミって兎に角それをやめるんだ!」


「事件を解決するまでなら」


「とりあえずはそれでいい。それよりなんでこの事件に関わっているんだ。」


「ああ、そうだね。それは2年前の話だ」


そうして戦我原は過去を語り始めた。

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