ブラック校則〜解決〜

文字に朱嶺の相談をした帰り志門達は、今宵家で今後の相談をしていた。


「これをどう使うか。」


ボイスレコーダーを見ながら雷電は呟いた。


「それで、朱嶺先生のさっきみたい意味不明な言葉を録音すればいいんじゃないの?」


時雨の提案に志門は、羽のない妖精の描かれたカード


「なら、このカードもあるだろ。」


「なにこれ志門。」


「それ、この前戦我原が落としていった奴か?」


「ああ、エコーって言うカードだ。」


「「エコー?」」


「日本では木霊に似ていて、声を反響させるんだが、このカードはそれみたいに音を録音できるみたいなんだ。」


ボイスレコーダーを指差しながら言う志門に時雨と雷電は驚いた顔をしながら、カードを見つめていた。


「そうだ、こんな凄いカード達をただカードって呼ぶのもあまりかっこよくないな。」


「じゃあ、パワータロットっていうのはどう?」


「いや、これタロットじゃねえだろ。」


雷電は自分のカード見ながら主張した。


「じゃあ、パワーカード、っていうのはどうだ」


「「いいな(わね)!!」」


三人は自分たちが名付けたカード大喜びで見ていた。



そして、数日後志門達は校長室に居た。


「これを聞いてください」


志門達がボイスレコーダーとエコーで録音し移した、数日間の声の数々を校長に聞かせた。


「まさか、そんな…。朱嶺先生が。」


「私からも何度か報告申し上げた通り、朱嶺先生は赴任してからこの短期間で、かなりの回数生徒と問題を起こしています。」


「報告?なんだそれは。そんな話聞いていないが。」


「教頭先生にお話ししたところ、校長に伝えたが証拠がなければどうしようも無いと仰っていたと聞きましたが。」


「そうか、教頭先生か…。しかし、あの真面目な朱嶺先生がこんな事言う人だったとは、前の学校で色々と苦労していたとは聞いていたが…。」


「どういうことですか?」


「朱嶺先生がここに来る前の後はとても荒れていた学校に居たらしい。」


校長は何かを決心したように話し始めた。


「そうだな、私の方でなんとかしよう。君たち、これを私に預けてくれないか?」


「いえ、私達で解決したいんです。」


「しかし…。」


「なら、こういうのはどうでしょう。」


十文字の言葉に部屋中の視線が集まった。


校長室に行った次の日志門達は体育館に集められた。


「聞いてください。朱嶺の悪事の証拠だ。」


志門はボイスレコーダーを掲げた後、持っていたマイクに近づけて再生した。朱嶺の数日間の暴言の数々を体育館にいる生徒と教師に聞かせた。


「なによこれ! 盗聴じゃない! 」


朱嶺の叫びに学年主任の古林は言った。


「朱嶺先生、これは本当ですか。本当だったら問題ですよ。立派な強迫ですよ。」


「なにが問題なんですか。私は正しいことを言っているだけです。」


「正しいこと…な、なにを言っているんだ。」


「それより、校長。この非行生徒達を早く摘み出してください。特にあの金髪の奴は親が外人のくせに調子に乗って。」


「あーあ、そんなこと言っちゃ。」


志門は朱嶺の発言に呆れていた。


「朱嶺、なんてことを!」


「なによ!間違った事なんて言って言ってないじゃない。」


朱嶺の発言に何かを決心した校長はマイクの前に立った。


「朱嶺、君をクビにする」


「ああぁぁぁぁ!!!」


朱嶺は校長の言葉に崩れ落ちた。



全校集会の後志門達は格技場に集まっていた。


「志門やったわね! 」


時雨は志門に抱きつきながら言った。


「今宵そういうのは二人の時にやってほしいゾ」


「えー、いいじゃない。」


「まあそれはともかく、雷電も時雨もこれで意味不明な事で怒られなくて済むな。」


「「ああ(うん)、ありがとう」」


志門の言葉に二人は礼を言った。


その日の夜朱嶺は街をとぼとぼ歩いていた。


「私は悪くない。私は悪くない。悪いのはあの非行生徒達よ…」


「君は過ちを犯した。」


誰かの声がして後ろを振り返るそこにはブレザーを着た少年が立っていた。


「誰よ貴方。」


「僕は正義の執行人。君みたいなクズを消す事が使命さ。」


戦我原はそう言い放つと、フェニックスのカードを出した。


「フェニックス。消し炭にしろ」  


戦我原は火柱を作り、赤嶺に近づけた。


炎は赤嶺の体を包み込んだ。


辺りに赤嶺の断末魔が響き渡る。


「さてパトロールの続きでもするか。」


燃え盛る中に赤嶺を横目に戦我原は、立ち去っていった。

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