ヒーローロード外伝・闇乃 影司(R17・5、閲覧注意)

MrR

今が地獄か、地獄の方が地獄なのか

*このお話はヒーローロード本編のブレン編終了から少し経過した後のお話です。


*このお話は闇乃 影司のお話です。超胸くそ悪い閲覧注意なお話です。


*それでは本編をどうぞ。


「ああああああああああああああああああああああああああ!?」


 長い白髪、白肌、赤目の童話に出てきそうな美少女に見える少年、闇乃影司は白い部屋で壁に厳重に拘束されて電流を流されていた。

 常人なら間違いなく即死するレベルだ。

 雷の数倍のエネルギーだ。


 水族館の水槽の壁のように厳重に防弾ガラスを何枚も重ね合わせた先には科学者達が日々取れるデーターに喜んでいる。


 彼達は日本政府と自衛隊の人間である。

  

 その中でも闇の部類の人間だ。


 彼達の目的は手段を選ばず、日本政府へ貢献することである。


 だが最近はそんなことよりも自分達の欲求――闇乃 影司から取れるデータで歓喜に打ち震えていた。


 現在、日本はブレンと言う外宇宙侵略者のテクノロジーで切り売りし、デザイアメダルでの一件を巻き返そうとしている。


 しかしそれだけでは足りない。


 もっと強いカードが必要だ。


 特に日本にいながら独立国のように振る舞うあの学園島の言うことを聞かせるにはより強い力が必要だ。


 闇乃 影司を拉致して回収したのは偶然だった。


 脅迫は簡単だ。


 親しい連中の顔写真を見せて危害を加えるとでも言えば良い。


 万が一暴れても取り押さえるための戦力は十分にあるし、そのためのデーター収集もしている。


 計画は順調。


 特に彼の細胞や体内の鉱物から得られるデーターは凄まじい。


 あらゆる難病の克服、不老不死。


 環境問題の改善。


 自分達は救世主になれる。


 そのためなら少年一人の犠牲など安いもんである。


 この場にいる科学者連中は皆、そんな考えだ。



 Side 闇乃 影司


 今日も酷い仕打ちを受けた。

 

 もしも自分が普通の人間だったなら間違いなく百回以上は死んでるだろう。


 銃弾や砲弾、レールガン、レーザー兵器にプラズマ、ビーム兵器を撃ち込まれたり、


 炎や電撃に晒されたり、


 謎の注射器からありとあらゆる薬物を撃ち込まれた。

 いわゆる麻薬などは良い方で癌細胞だか生物兵器のサンプルだとかも撃ち込まれた。


 さらには戦闘データーを取ると言って様々な化け物と戦わされた。


 最後の戦闘データ収集がくせ物で自分が死ぬ寸前になるまで、意地でも永遠と続けられる。


 戦う相手も様々でワケの分からん生物兵器やデザイアメダルの怪人はまだいい。

 酷い時は"用済み"と言わんばかりに殺人を強要されたこともある。

 殺した相手の中には自分と同い年の――少年や少女の姿もあった。


 それを乗り越えて強制終了する場合は室内に必ず催眠ガスや神経ガスを流し込む。


 余談だが、体内に埋め込まれた"ナニカ"のおかげで頭に周辺の情報やデーター、今体に撃ち込まれている薬品のデーターなどが流し込まれるようになった。もっともそのデーターの大半は(知らなければよかった・・・・・・)と言えるものばかりだが。

 

 正直まだ死んでないのが奇跡だ。


 いっそ殺して欲しいとも思うが。


(どうしてこうなったんだろう・・・・・・)


 などと考えながら与えられた真っ白い部屋のベッドに寝転がり、そんな事を考える。

 

 自分は身を挺して仲間を庇って――そうしてこうなった。


 なぜかあの時は"今の状況のようになる事を知っていた"気がする。


 それが不思議だった。


 まるで記憶が欠落しているような状況だ。


 地球が吹き飛ぶレベルのエネルギー総量(らしい。なんでか知らないが影司には分かった)の敵のあの攻撃を仲間や、地球から庇えば記憶の一つや二つぐらい抜け落ちても仕方ないと思った。


 本音を言うと今は後悔している。


 いっそ死んでいればよかった。


 何しろそのせいでモルモット扱いだ。


 自害することも許されない。


 自害すれば大切な仲間達に危害が加わる――仲間達は確かに強い。

 だがこの施設――政府の極秘施設にいる連中は人の皮を被った悪魔だ。

 絶対とんでもないことをしでかす。


「・・・・・・今日も酷い目にあったんだね」


 そこには女の子がいた。

 バカでも分かるハニートラップ要因。

 だが女の子も必死で「仲良く出来ないと殺される」と言われたら無碍にもできなかった。


 名前は浅野 セレナ。


 背も高めで姉御肌な感じのボブカットスタイルの女の子だ。

 とても強気そうで影司の好みの女性像の真逆を行くが何だかんだで仲良くなった。

 彼女もいわゆるモルモットと言う奴らしい。

 たぶん年上だろう。


「うん・・・・・・正直死にたい・・・・・・」


「私もだよ・・・・・・体を弄くられまくって男のチ○ポ何回突っ込まれたか分からない。慰み者にされた女ってこう言う気持ちなんだね」


 セレナはセレナでそうとう地獄を見ているようだ。

 彼女も自殺できるなら自殺したいと願っているようだ。


「今日もモルモットさ。ワケの分からない薬品ぶち込まれたり・・・・・・好き放題されて悔しいし、恐いのもあるし――だけど?」


「だけど?」


「もう人間じゃないんだなって改めて思い知らされた」


「私もだよ。なんか変な薬品撃ち込まれたらあの日から実験動物扱いされて、いやなら肉便器にされて。他の子も同じ目にあってる」


「なんて言えばわからないよ・・・・・・」


 セレナの言っていることは真実なのだろう。

 影司はどんな言葉を投げかければ良いのか分からなかった。


「脱走を試みた奴は何人もいたけど全員死んだ。死ぬだけならまだ良い方さ。見せしめに考えられるかぎりに惨い方法で処刑されるんだ。女性は肉便器に改造されて精神を壊されて、飽きられたらぽいってされてる」


「そのウチの何人かは俺が殺してるかもしれない」


 罪悪感を感じながら影司は告白する。

 だがセレナは目尻から涙を流して――


「それでいいさ。それで――ずっとモルモットにされるよりかはマシだよ」


「そうか・・・・・・」


 その一言でより罪悪感が深まる。

 今この瞬間が地獄なのか、それとも死んだ後が地獄なのか。

 影司には分からなかった。


「もう誰に見られても構わないから。セックスして」


「今日もか?」


「見せつけてやるんだ。それに影司に抱かれないと気が狂いそうになるんだよ」


「・・・・・・俺も同じ気持ちだ」


 この地獄の中で唯一の癒やしはこれだった。

 誰に見られてるのかも分からない異性との性行為。

 それぐらいしか正気を保つ方法がなかったのだ。

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