第20話 浮き輪って女の子と密着できるナイスアイテム
急ぎ気味に昼食をとった。お腹いっぱいだし普通に美味しかった。満足。
僕たちは波打ち際まで移動した。民宿から持ってきたパラソル2つとサマーベッドを4脚セットする。
「よし、海に突撃するぞ!」
本田君は一番に突撃して行った。
女性たちは日焼け止めを塗りだす。神崎君と津山君は日焼けオイルだ。僕は日焼け止めのほうだな。日焼けしてもすぐに真っ赤になっちゃうから。手足は自分で塗って、背中は里奈に塗ってもらった。
「私にも塗ってくれる?」
首筋や背中、腕や足の裏側に伸ばすように日焼け止めを塗る。里奈の白くて柔らかい肌を撫でまわしているので勃ちそうになる。男だったらしょうがないよね。しかも相手が里奈なんだから勃ちもするだろ。途中、心を静めてなんとかしのいだ。無我の境地ってすごい
里奈の浮き輪を膨らませて海に入る。
「暑い日差しの中で海に入ると気持ちよさが倍増するね。海水浴に来てよかったかも。里奈はどう?海の中は冷たくて気持ちよくない」
「気持ちイイよ。海はプールとは違った良さがあるね」
足がギリギリの深さまで進んだ。女性陣も男性陣に浮き輪を押されてきたようだ。
「すごーい、足が全然つかないよ。このまま沖に流されたらヤバイね」
上原さん達はどんどん沖に向かっていく。一応、沖にはブイが浮いており泳げる範囲は決まっている。ライフセイバーもちゃんといて常に周りを監視しているようだ。
途中で神崎君と今井さんが戻ってきた。本田・上原ペアについて行けなかったらしい。
「月宮は沖行かないの?」
「神崎君が途中で帰ってきたの見て止めようと思った。本田君とか上原さんて体力バカ?めっちゃ泳いでるじゃん。中川さんと津山君もだね。みんなすごい体力だ」
「久々の海ではしゃいでるんだろ。俺と今井さんは疲れて戻ってきたよ」
とりあえず胸位の水深の所まで戻り、浮き輪で浮かんでいることにした。
「忍、また浮き輪に入る?」
里奈が浮き輪の中にスペースを開けてくれたので潜り込む。ちょうど背中合わせになった。背中越しに感じる里奈の体は最高だ。向き合った体制で浮き輪の中に入りたかったが、さすがにそれは怒られるだろう。
「波に揺られるのはいいな。やっぱりプールとは全然違う。僕は海のほうがいいや。里奈はどう?」
「私も海のほうがのんびりできるかな。でも海は来るまでが大変だよね。地元の海はきれいじゃないし」
いつか南の国の綺麗な海で泳ぎたい。
「あ、それならば除霊の仕事で沖縄とかないかな」
どさくさに紛れて体の向きを変える。里奈と向かい合うような体勢だ。視線を少し下におろすとたわわと実ったおっぱいが自己主張をしている。ビキニから零れ落ちないか心配になる程に。
「さすがに沖縄からはきてないね。でも沖縄って土地はお仕事沢山ありそうだよね。忍がもっと有名になったら依頼あるんじゃない?まずは首都圏で名前を売って、市や県から沢山仕事貰って、さらに国から依頼を受けれるようになったら沖縄行けるかもね。世界的に有名になれば海外からもオファーがくるかも」
「海外か。霊に対しては海外のほうが認知されてるよね。日本は中々信じてもらえないからね。海外から仕事こないかなぁ。ヨーロッパとか沢山霊がいそうだけど。除霊でドイツのお城巡りとかしたいかも」
「そんな依頼があったら私も絶対について行くからね。依頼が来るように忍は頑張ってね」
僕たちは海外からの除霊依頼に思いを馳せた。まぁ依頼なんて来ないだろうけどね。
浮き輪の体勢を元に戻す。今度は里奈が僕の背中に乗っている。浮き輪があるから、正確には僕の腰に足を絡ませる感じ。最近、里奈のスキンシップが激しい。スキンシップを気にしないのか、それとも男と思われていないから?僕にとってはありがたいスキンシップだが気持ち的には微妙だろう。今だって全然恥ずかしがってる様子はない。
神崎・今井ペアに、
「本当は付き合ってるじゃ?」
と聞かれた位だ。
「んー、別に付き合ってないよ。仲がいいから手をつないだりはするけど。ちょっとスキンシップが多い位だよ」
「でも他の仲のいい男の子と手をつなげる?」
「うーん、嫌」
「それは恋だよ!」
今井さん、あんまり里奈を惑わすようなことを言わないでください。今の里奈はちょろ可愛いのでそのままにしておいてください。お願いします。
「別に恋なんてしてないと思うよ」
今井さんは神崎君に”あー、これ本人気づいてないやつだ”と話していた。恋だったらいいけどね。さすがに僕が”それは恋なんだからキスしよう”なんて言えない。思っていても言えない。
里奈をおんぶして海の中をあっちこっち回った。本田君たちも戻ってきた。その後は全員で海の中をうろうろしていた。
時間は午後三時になる。一度民宿に戻ってシャワーを浴びた後は買い出しだ。この後はBBQと肝試し。
「BBQの買い出し行くんだよね。僕は肝試しの時に持って帰ってくる飴玉を神社の境内に置いてくるよ。明るいうちに行ってくる」
本田君が一緒に行くと言ってくれた。
「いや、僕だけでいいよ。買い物やBBQの準備のほうが大変だからね」
そう言って1人で神社に向かった。
わざわざ1人で行くことにしたのは神社や道中に悪い霊がいないか確認するため。
神社はお爺さんの家から少し歩いた山中にある。住宅の中を抜け山道を5~10分ほど登った先に神社があった。道中には霊の気配も感じない。
一般的に神社内は神聖な場所と思われている。でも、実際は悪い霊も結構いたりする。神官や僧侶が霊になり人に憑いたりもするのだ。霊に対して親和性の高い人が死後に地縛霊になった場合は、生きている人にかなりの悪影響を及ぼす場合がある。恨みじゃなくて宗教の教えを広げようと憑りつくのだ。霊も良かれと思って憑りつく。本当に質が悪い。
境内の周りも細心の注意をはらって見てまわる。とくに何も感じないな。
参道にある手水舎の横に飴玉を4粒おいた。ここなら分かり易いし持って行かれることもないだろう。再度、周囲を確認して僕はお爺さんの家に戻った。
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