第18話 もう次のイベント?


平日放課後。

授業が終わって帰ろうとした時に本田君に次回のイベントBBQの相談を受けた。


「盛大なBBQをマジでやろうぜ!」

「盛大って何?クラス全員でやるの?」


そんな大人数のイベントとか面倒だなぁ。


「いや、男女10人位がいいんじゃないか?BBQと肝試しとかどうだ?女の子とペアで回るんだ。ビビって俺に抱き着くかもしれない。むしろそれが目的だ」

「いや、本田君が抱き着くんじゃないの?それでビンタもらったら面白い」


肝試しなんてどこでやるんだ?昼にBBQしたら夜には疲れて気力がなくなるんじゃない?


「それある。月宮も考えてくれ。一度じゃなくて何回にも分けてイベントをこなすのも有りだな」


うーん、と考える本田君。イベントごと好きだね。


「とりあえず何か考えておいてくれ。俺も考える。沢木さんや上原さんにも聞いておいてくれよ」


本田君が聞けばいいんじゃないかな。たしかに前回のプールの時から上原さんのライン友達になってる。彼女と里奈と僕でグループチャットを毎日してるくらい彼女は話好きだ。


「とにかく頼むよ。じゃ、またな」


本田君は帰っていく。

さあ、僕も家に帰るかな。

今日はバイトもないし放課後はフリーだ。つまり暇ってこと。

里奈は天野君に誘われて美味しいパンケーキを食べに行ってる。2人きりは嫌だから上原さんや他の友達もつれてグループで行くって言っていた。

パンケーキとかお洒落すぎだろ。僕も帰りにホットケーキミックスを買って家で作るべきか。

学校を出て商店街でホットケーキの粉を買う。沢山作っても食べきれないから小さい袋のやつを買った。

家に帰ってホットケーキを作ろうかと台所に立った瞬間に夢から覚めた。


「俺、何やってるんだろう。ホットケーキミックスとか買ってるし」


里奈たちが羨ましかったのか?お洒落マンになりたかったのか?

よく分かんないし。ケーキミックスを戸棚にしまい部屋に戻った。

漫画でも読むか。




翌日教室。

眠い。めっちゃくちゃ眠い。

昨日の夜は漫画を見て早めに寝る予定だったが、遅い時間に上原さんからグループチャットの愚痴攻撃にあっていた。

パンケーキ屋にみんなで行ったが、男どもが下心丸出しで口説いてきたらしい。上原さんや里奈、そしてその友達にも”彼氏いないの?”とか”付き合っちゃおうよ”とか煩かったらしい。

結局、男4人女4人で行ったらしいけど、4組のカップルを作ろうと必死な奴がいたみたい。天野君はそんな感じじゃなかったみたいだが、他の3人が積極的すぎて引くレベルだったとか。話す内容も自慢話ばかりで面白くないと。

もう2度と行きたくないって愚痴っていた。あの陽気でノリのいい上原さんを怒らすとかヤバイな。

パンケーキ自体は美味しくてまた行きたいって女子の意見は一致したみたい。僕もパンケーキ作ろうとホットケーキミックス買ったけど戸棚にしまったままと言ったら、今度ホットケーキパーティーしようと急に元気になった。そんなに好きなの?

それから甘いもの談議で盛り上り、2時位までこんなチャットをしていた。おかげで眠い。

席に着いてボケーっとしてたら本田君が話しかけてきた。昨日のBBQの話だろう。


「おはよう、月宮。俺の考えた最強のBBQの話を聞いてくれ」


BBQに最強なんてないでしょ。


「みんなでBBQするだろ。その後に片づけをして肝試しだと帰りが遅くなるよな。これ、キャンプみたいなお泊りだったら問題なくね?」

「イヤイヤ、泊まりで行くって問題だらけでしょ」

「そうか?俺は全く問題ないが」


男は平気かもしれないけど女の子は無理でしょ。


「聞くだけ聞いてみるか?上原さんが行くって誘えば大丈夫そうな気がするんだが」

たしかに上原さんはゆるい感じだけど行動派なタイプだ。みんなを引っ張っていくことが出来るスーパー女子高生(かわいい)だしな。

「僕は本田君に任せるよ」

「俺、上原さんの連絡先しらない」


え、こないだのプールの時に聞いてないのか。勝手に僕が教える訳にはいかないしな。


「3組の教室に行けばいいんじゃない?彼女だったら誰でもウェルカムでしょ。呼べばすぐに来てくれるよ」

「そうだよな、よし分かった相談してみる」


本田君はイベントに燃えているようだ。




さらに翌日。


「おい月宮。すごい朗報がある」

「うぇ?」


本田君が突然話しかけてきた。ビックリしたじゃないか。変な声でたよ。


「上原さんにキャンプの相談をしたんだ。そしたら賛成してくれた」

「すごいじゃないか。それじゃ頑張って計画立ててね」


本田君は本気のようだ。計画倒れになるような気がするが。


「それだけじゃないぜ。何とお爺ちゃんの家を使っていいそうだ」

「お爺ちゃん?」

「お爺ちゃんは昔に民宿をしていたらしい。今は歳とって廃業したって。布団とか部屋はあるから自由に使っていいらしい。温泉露天風呂もあるんだって。まぁ使用後の掃除は必要だけどな」


何それすごい。温泉とかわくわくする。


「計画が一歩前進したね。それじゃあ行ける人に声かけたら。日にち決めて参加者を募るんだね。何人くらいで行くの?」

「泊まれる人数聞いたら20~30人でも平気みたいだ」


ってそんなに大勢で行くのか?そんな人数だったら嫌だな。僕は不参加でいいや。


「まぁ、頑張って予定立ててよ」


本田君に後ろ向きな返事をしておいた。



昼食時に里奈に本田君が立てている計画の話をした。

里奈はあんまり興味ないみたい。何十人もの生徒たちで行く学校行事みたいだもんな。僕もそんなのには参加したくない。


「忍は行くの?」

「こじんまりとした旅行ならいいけど、あんまり大勢で行動するのはイヤかな。バイト休んでいいから里奈は行ってきなよ。上原さんも里奈が参加すると思って本田君の計画に乗ったんじゃない?」


だって本田君と上原さんはそこまで仲良くなってないだろ。連絡先も知らなかったし。


「えー、どうしようかな。忍も参加できるならしようよ。とりあえず参加者とか人数で考えようかな」

「僕もそうするよ」


知らない人ばっかりだと疲れるしね。

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