武者修行篇

白い少女

#1 ドラゴン・インパクト

 がちがちと歯が鳴る。震えが止まらない。

「緊張してんのか、新入り。しゃんとしろ」

「まぁまぁ、無理もねぇけどな。オレたちですら震えがくるくらいだ」

「俺はびびってねぇぞ」

「おめぇは鈍いからだよ。色々と」

 なんでこの人たち、こんなに余裕なんだ。あのバケモンを前にして……!


『オオォオォオオォオオオオオォォォ!』


 ドラゴンが咆哮した。

 大気が震え、それだけで身体が後ろに押されてしまう。耳の奥がキンキンする。全身の筋肉は硬直し、細かい血管が破裂したかのように痛む。

「ずいぶんと小型だな」

「まだ子供なのかもしれないわね。それにしても珍しいわね……白いドラゴンなんて」

 美しい白。何の汚れもなく、眩いほどの、白。だけど、それを直視できる勇気はない。

「新入り。余計なことは考えずに、生き延びることだけを考えろ。いいな」

 おれはどうにか頷いた。


 ――そこから先は、まるで戦争だった。


 爆炎が舞い、怒号やら魔法やら、矢とか何やらが飛び交い、地面が割れた。凄まじい衝撃波と熱風、冷風。何が起きているのかわけがわからない。

 そして、地面を抉る、大爆発。

 おれは爆風に弾かれ、宙を舞った。


 覚えているのは、そこまでだった。


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おれたちドラゴンバスターズ! るーいん @naruki1981

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