初めての風邪

体がダルすぎる。


高校生を境に風邪をほぼ引かなくなった僕


普段の平熱以上に熱を持っている今の体は

久々に味わう体調の悪さは何とも気味が悪い


ドクンドクンと心臓の脈が打つ度、僕という生命体が終わりに向かっているみたいに感じる


あぁ~


体がダルすぎる。


これはしばらくベットから動くことは出来ない


んんっ..


隣から寝起きの声が聞こえる


「morning」と言って横で寝ていたフランスが目を覚ました


「you woke up?」(おきてたの?)


「I just woke up but...」(今さっき起きたよ。けど...)


僕は続けて言う


「ダルすぎて体は起こせん...」


「もしかしてかゼか?」


「Exactly」(その通り)


「バカでもかゼを引くのか...」


「おい、バカじゃないから風邪引くんだよ?いや...

むしろ天才だから風邪を引くのかもしれない...」


「what do you mean?」(どういうこと?)


「...」


「フランスはまだ知らなくていいことさ。」


僕のボケは本当のボケで終わってしまった。


フランスは軽く不思議な顔をしていたが


「朝めしはどする?ベットまで持ってきてあげる?」


ちょっと間違えた日本語で朝ご飯をどうするか質問をした


ベットから動くことができない僕に対しての

フランスのこの優しい一言は「神か...」と錯覚させた


「I`m France」(私の名前はフランスです)


ちゃう。そういうことだけどそういうことちゃうで。フランス


フランスが部屋からでてちょっとしてから

フランスがお母さんと言い合っている声が聞こえた


でもフィリピン語で話しているから何を話しているかは分からない


そしてひと段落したのか


フランスはお皿に盛った朝ご飯をベットまで持ってきてくれた


「ありがとうフランス」と素直に感謝して

フランスは「どういたまして」と言って仕事へ行った


僕は行ってらっしゃいをしてからご飯をいただく。


んんっっ


食べ物が喉を通らない。


食べたい気持ちがないわけではないが

喉が、体が受けつけない


でもフランスのお母さんが作ってくれた朝ご飯

これだけは食べなければと無理してでも頂いた。


うぷっ...


無理に食べ物を詰め込んだ吐き気と体調の悪さからくる気持ち悪さ

この気持ち悪さのコンビネーションは体調を悪化させた


気がする。


けど作ってもらったものを食べない方が気持ちが悪いから後悔はない


コンコンコン


扉をノックする音が響く


僕が返事をする前にガチャと扉が開いた。

何のためのノックだったのだろう...


「○▼※△☆▲※◎★...」


そしてフィリピン語で何かを言っているが

何を話しているか分からない。


少し間が空いてから


僕が理解していないのをあっちが理解したらしく


いきなり僕に覆いかぶさり服を脱がそうとしてきた


はっ!?はっ!?はっ!??


訳が分からなくなりながらも僕の服を掴むフランスママの手を払う


「what!?」


フランスが仕事に行ってから調子の悪い僕の服を無理やり脱がそうとする

かわいい女の子ならともかく、流石に友達のお母さんは無理だ


高熱の僕の体は自分が思うように動かせなくて

力が入らない体が異性に力で襲われる恐怖、犯される恐怖は

男の僕は体調が悪くないと味わえなかっただろう


しかもその相手が友達のお母さん相手とか世界で僕だけではないだろうか?


服を脱がない僕に怒り散らかしてバタン!と大きな音を立てて部屋を出ていった


なんだったんだ...


騒がしかったこの部屋は恐怖と気持ち悪さだけを残して静かになり

騒ぎが落ち着くとさっきまで暴れてたせいか体のだるさが増した


とりあえず菌をばらまかないように持ってきていたマスクをする


ぐちゃぐちゃなベットに1人寝ている僕


何故か、嫌なことは寝て忘れろ。と誰かが言ったことを思い出して


体調の悪い僕は乱れたベットの上で

布団一枚をかぶって眠りにつくことにした


あぁ~


相変わらず体がダルすぎる

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