告白

トイレに行ってから裏へ向かったため着替えるのに時間が少しかかった


布1枚の更衣室でワイシャツを脱いだあたりで2.3人が裏に入ってきた


げぇ藤井四段が29連勝だってすげぇ...とか声が聞こえるから

携帯をいじりながら小休憩をしているのかな


「そいやさぁ、今日トライアルした子のこと店長何か言ってなかった?これから働くの?」


「言ってたわ。英語全然できてなくて、よくあの英語力でニュージー来たなって」


「マジで、どんだけボロボロだったの」


聞いたことのない男女の声、僕が今日挨拶してない炎(HONO)で働いてる誰かが

今日トライアルに来た人の事を話している


「ってことは採用しないってことかな?店長は」


「そうじゃね?かずきいるじゃん?

かずきがトライアル来た奴の教育してたらしいんだけどホラしか吹かないんだって」


「どんなこと言ってたの?


「なんか廃墟に住んでたーとかヤンキーに絡まれたーとかだって

えりはアホだから信じたらしいけど、ありえなくね?」


「ありえないwwwもっとましな嘘つきなよ。これ信じるえりはやっぱアホだわww

変な男に引っかかってたし、また変な男に騙されるじゃんww」


「えりのこと悪く言うのはよせってww」


そんなことを言いながらまんざらでもないリアクションが布の奥から聞こえてくる


「やっべそろそろ行かないと」って声を最後にやり取りは聞こえなくなった。


僕は自分の服であるスウェットを着なおして


制服を棚に戻して店を出た。最後の最後に嫌なものを聞いてしまった。


トライアルを終えた後でも悪くないなと思っていたが


最後の最後で意見が変わってしまった


これを機に僕も少し素直になろう。


僕はニュージーにワーホリに来ている日本人


正確に言うと日本人グループに属している日本人が苦手だ


そう言う人は海外に来ているのに小さな日本を展開をしていて

海外で生活していることにプライドを持っている


そして人を見下している傾向が強い


多分、個でいるならそんなことはないのだろうけどそれが集まってグループになると

その他の者を見下してしまう人が多いのは日本国内でもそうではないか


その矛先が僕に向けられたのが今回と1番最初に泊まったAucklandのバックパーカでもだ


あの時の英語は今と比べ物にならないくらいポンコツで

よく「あの英語力でニュージー来たな。」とか「私なら耐えられない」と見下すように言われていた


とか言って出来ないから出来るようになるため努力をしていると


よく「あんなに勉強できるね。」とか「できないことが多いと勉強大変でしょう」と同じように見下され


努力してもしなくてもどっかで見下されていた。


Aucklandというか都市部で暮らしている人は農村部に比べこんな人が多いと思う


かずきとか言うやつだっけ、ロクな人生経験もしてないくせに


さっきの会話を聞いたのとちょっと前の事を思い出したのを加えて


久々に心からイライラという感情が生まれてきた


僕はやつらみたいに人を見下して笑うような奴にならない。


帰国するまでに英語を学んでやつらより必ずbetterになる。


あんなクソみたいなやつらに負けない。


たかがパスポート落としたぐらいで騒ぐような小さな人にならずもっと広い世界を見る


そしてこのお店で働くのとそんな日本人が多いAucklandのジャパレスで働くのはやめようと誓った


炎(HONO)からも連絡がくることはなかった

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