求職活動
窓から流れる木漏れ日が僕の瞼の裏まで流れ込んできた
朝露が葉露となって滴れ落ち、その雫が大地を一滴、また一滴と潤している
Auckland(オークランド)はPutaruru(プタルル)よりも暖かい
2人を挟む195という距離は季節を少し遅らせ、また早めている
今日も昨日と同じように身支度をしてまたBritomart(ブリスマート)駅に着いた。
今日こそは「いまはた作戦」を決行する!
最初の進行先は昨日と同じで少し気になっていた
いや、今では2日連続でお店に訪れるほどかなり気になっている
黒い看板のどんぶり屋さん
店の外にはバリケードはなく通常営業をしているようで
僕はお店に入り、お客に気づいた1人の店員が「いらっさいませー」と
僕の方へ駆け寄ってきた。
ご飯を食べに来たんじゃなくて働きに来たから
席に案内をされる前に僕は、僕が来店したことに気づいた店員に1つ質問をした
「can I work here from now on ?」(今から働けますか?)
「Are you looking for job?」(仕事探してるの?)
「Yes!」(はい!)
「Just moment 」(ちょっと待ってください)
お客ではなく求職者に接触した店員さんは
接客ではなく接職をした僕のため
上のポジションの人に今、求人募集をしているか聞きに行くみたい
そのため厨房の方へ向かったが半分ほど行った場所から
Uターンをしてこっちへ戻ってきた
「Are you Japanese right?」(日本人だよね?)
「Yes! I`m Japanese」(はい!日本人です)
「okay」といってまたUターンをした
改まってそんな質問をするなんて
ジャパレスで働くうえで日本人って言うのはやはり大きなアドバンテージなのか
その彼が厨房から戻ってきた
その彼が口から発した第一声は...sorry
「sorry we were not looking for someone new...」(すいません、新しい人探してなかったです...)
アドバンテージを握っていたはずのにブレイクされセットを落とされてしまった...
「わかりました...帰ります...」
「???」
目の前のこの彼は不思議そうな顔でこっちを見る
...
もしかして日本語分からない..?
「Are you Japanese?」と次は僕が厨房の反対側
出口から半分くらいのとこで質問をした
「I`m Korean」(韓国人です)
あぁ...なるほど
ずっと英語で話してたのは別に英語力を試されてた訳ではなかった
「okay」といって僕はUターンをした。
お店の外に出て何件かジャパレスへ向かった。
Japanese(日本人)のレストランなのにまず日本人(Japanese)が働いていないという
不思議な現象が起きてるジャパレスだってあった
今日はちゃんと営業してるお店しかなかったけど
そもそも人募集してないとか英語ちゃんと話せないならいらないとか
いろんな理由でお祈りをされてきた
ここまでお祈りをされると
まるで自分がこの世界で必要のない人のような感覚に陥る
三年後に控えた就職活動が少し怖くなった
いよいよ尋ねたお店が自分の歳を超えそうな憂鬱な夕暮れ過ぎ
チャンスが舞い降りた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます