最後のお仕事with親方

作業がひと段落し、親方の隠蔽工作も終わりお昼休憩の時間になった。


携帯を開いてみると新着メッセージがある。


bossのマイクからだ。


「 you can work anytime」


ん?兄タイム? 読めなくて親方に聞いた。


「エニイタイムじゃ、いつでも働けると言っておるぞ」


「ありがとうございます!聞いたことあるような、ないような単語、適当に明日って送ってみますね。」


「おうよ」


親方は短めの返事をした。


「 tomorrow」(明日)


とだけ文字を打ち込みメールを送り、その数分後に携帯の通知が鳴った。


「ok here is address see you tomorrow 」(分かった 住所はこれね。また明日)


本当に、キーウィの人フットワークが軽すぎる。一晩で本能寺が建てられちゃうよ


「親方、明日行くことになりました。」


「おうよ」


親方は短く返事をした。


「なので、働くのは今日の午後の部で終了でも、だ、大丈夫ですか...?」


「おうよ」


親方は短い返事をした。


「今まで、ありがとうです。それとわがままも聞いてくれてありがとうございます」


「おうよ」


親方は短...


親方は適当に返事をしている。


親方は僕の最後のお礼より、お昼ご飯を口に入れ込むことを、食欲を満たすことを優先している。


どうにかリアクションをさせたい。


ティッシュペーパーを壁に埋め込んでたことを言うたろうかな...


いや、僕は優しい、この事実はお腹の奥へ流し込むことにした。でも消化はさせない


ご飯を食べ終わって午後の部再開した


午後の部もいつも通り仕事をして最後の仕事はあっさり終え

仕事を手伝ってくれたキーウィとバイバイをして僕らは家に戻った。


親方はいつもみたいに部屋で過ごしている。


昨日は、ちょっと寂しいな、なんて言っていたのにいつも通りケロッとしている。


昨日のセリフは一体何だったんだ?


やだ、こんなに親方のことを考えて、1人で好きな人に振り回される乙女みたい。


やめよう。こんなこと考えるの


最終日だったのにこんなそっけない感じが昭和の人みたいでむしろいい感じだろう。


僕は今日の汗を流しにバスルームへ向かった。


最終日の記念にでも、お風呂に入りたかったが

やはりバスタブは経年劣化していて入る気になれなかった。


壁が黒ずんでいるシャワールームは慣れてしまったので、

入る気にしかなれなかったから心地よく最後の雨を浴びれそうだ。


僕は蛇口(一応)を回した


ジャっー


冷たっ


前言撤回する。

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