発声
叶都が美裂と付き合ってから一週間が経った。
学校中、あの沈黙姫とも呼ばれた美裂が、教室中に響き渡るほどの大声で、叶都に求婚したことで、依然話題沸騰中だった。
「なー叶都、どうやって須賀と付き合えたんだよ。」
「…俺自身も知りたいくらいだ。どうやら美裂には訳があるらしいが…」
「まさかお前…したのか!?」
「何をだよぶん投げるぞ。」
「最近アイツ、お前に会う時だけ何か早いんだよな。」
「早いって、何が?」
「呼ばれてから行くまでだよ。やっぱり何か弱みを…」
「握ってねぇよマジでぶん投げるぞ。」
「でもなぁ…あの須賀がか…絶対お前何かやっトワァァ!?」
そう言った男友達を、叶都が投げ飛ばした。
「ちょ!お前マジでやりやがったな!」
「言っただろ?ぶん投げるぞって。あとこれでも手加減してるほうだ。」
「本当になぶん投げる奴が居るかよ!」
そんなやり取りを交わしていると、当の美裂がやってきた。
「ん、あ、美裂。」
「…」
「えーと、どうした?」
男友達にはいつもと同じ無表情に見えたが、叶都は違うらしい。
「何でそんな拗ねてンだよ。」
「…別に。」
美裂が話すのはかなりのレアイベント(ただし、叶都は除く。)のため、ちょい驚いた男友達に叶都は苦笑いを向けて見せ、
「そう言うのを拗ねてるって言うんだぜ?…言葉に出すのが苦手なら表情に出してみれば良いじゃん。」
と、言った。
「…っ!」
叶都が謎理論を言うと、美裂はハッとしたように顔を上げ…
「…」
渋々という感じで、嫉妬してるように『むぅ~』と頬を膨らませた。
「…どういう表情だそりゃ。」
男友達が面食らってる隣で叶都は呆れたようにため息をついた。
「なぁ叶都、どうしちまったんだ?須賀は…」
「綺麗な倒置法だな。…美裂のことは気にするな。ただ少し…何だ、俺に対して献身的になっちまったって言うか…」
「なんだその異世界ハーレムもの位でしか聞かない台詞は!?」
「ま、良いだろ。んじゃ、雄徒、また後で。」
雄徒と呼ばれた男友達は、笑って頷き、その場を後にした。
「…で、何で拗ねてたんだよ?」
美裂の口元が少し動いた。
「…楽しそうに話してたから…か。」
どうやら凄く小さな声で話していたらしい。
「友達と話すときは楽しいだろ普通。」
「…友達いたこと無いからわかんない。それにもし叶都が両刀だったら…」
「…男に恋愛感情を抱くのは俺の中では無い。」
「…本当?」
心配そうな目で美裂がいった…
「何でそんな心配されなきゃ行けねーんだ?」
「でも…やっぱり…」
「何だ?まだ心配ごとでもあるのか?」
「男は皆大きいのが好きかなって…」
美裂は自分の体を見ながら言った。
「別に俺はそんなとこに拘ったりしねーよ。」
「…なら良かった…」
「何だ?まだあるのか?」
「やっぱり貴方が私に劣情を抱かないのは貴方が女を愛していないから…」
「何でそうなるんだぶん投げるぞ」
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