人形彼女

追憶劇場

始まり

「初めて会った時から貴方のことだけをずっと見てました。貴方無しでは生きていけません。どうか結婚してください!」

いつも無口な美裂が急に早口プラス大声で言うのもビックリしたが、多分誰よりもビックリしているのは、教室のド真ん中で告白(?)された張本人、神崎/叶都(カンザキ/カント)だろう。

いつも人形みたいに無表情で、誰かと話しているところを見たことがない須賀/美裂(スガ/ミサキ)が、顔を真っ赤にして告白してきたのだから。

「はい?」

叶都の第一声だ。

受け答えする以前に、叶都の脳がフリーズした。

「え…っと…」

数秒迷ったあと、叶都は

「トリマ外いこ?」

美裂を連れ出した。

「…」

始終無表情な美裂に、取り敢えず質問を開始した。

「何でいきなり俺に告白なんか?」

「…我慢の限界だった。」

即答。しかも答えが不穏。

「初めて会った時って…いつだっけ?」

「…小学3年生の時に。」

「結構前じゃん!何でその時言ってくれなかったんだよ!」

その時なら多分即Ok出来ただろう。

「…?」

「『何で?』見たいな顔をするんじゃない!その時言ってくれればここまで重くならなかったろ!」

「…」

「何でわかんないんだよ!」

相変わらず喋らない美裂を前に、叶都は途方に暮れてしまった…

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