僕は彼女を守りたいと思った。私は彼を救いたいと思った。

以考 彼方

プロローグ

 僕が幼稚園に通いだしたころお隣さんと仲良くなった女の子がいた。

 私が幼稚園に通っているときに仲良くなった男の子がいた。

 僕たち、私たちは毎日のように遊んだ。しかし、そんな記憶はない。

 多分好きだった。私も好きだったと思う。

 女の子がよく風邪をひいていたのを覚えている。だから、僕が守らなくてはいけないと思ったのだと思う。

 男の子はけんかが強かったのを覚えている。だから、私はけんかを止められるように強くなろうと思ったのだと思う。

 幼稚園のころの記憶が断片的に頭に浮かんだ。

 僕は記憶を消されていたことに驚きはなった。私はこの気持ちを思い出して胸が痛くなった。

 女の子に会いに行こう――。

 男の子のところに行かないと――。

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