泡沫の生成相棒(ジェナレイトパートナー)と夢の果て
玖万里空
第1話 これからの世界は…
俺が物心ついた頃には人形と暮らすことが当たり前になっていた。
一見、人と変わりはないが間違いなく人形である。
違うところがあるとすれば、『こころ』があるかないかだけだ。
この世界は魔法を使うことができる。
15才となり高等学院に入学する学生は生成魔法で相棒パートナーを作ることとなっている。
だからこの世界に住む大半の人たちは自分の作った相棒パートナーと生活を共にしている。
勿論、相棒パートナーといっても所詮自分で作り出したただの『人形』に過ぎない。
だから人間同士の交際が無くなることはなくあくまで自分の分身体であるという捉え方が大半であり普通である。
そんな人形にも……。
まぁ今はこれくらいにしておこう。
俺の幼い頃の話をしよう。
俺は冒険者である父親と研究者である母親からとても大切に育ててもらった。
どちらもこの世界では知らぬ者はいないほど有名であったし、忙しいのに時間の合間を縫ってはよく遊んでくれた。
俺はものすごく恵まれた環境で過ごしていたのだ。
しかし、ある日俺の両親は突然この世を去った。
禁忌を犯した事による処刑だったそうだ。
俺は処刑日の何日も前から両親が信頼を置いていた人の家に預けられていたから知らなかったのだ。
両親は自分たちが処刑された後、俺にも罰が下ることを危惧していたから預けていたのだと後に知った。
「何もしてやれなくてごめんな。お前の成長をもっと見ていたかった。もっと遊んでやりたかった。でも、俺たちはお前は誰よりも強く生きてくれると確信している。だから最後にこれだけは忘れないでくれ。『自分を裏切るな信じろ』」
これが両親の俺への遺言だった。
あれから幾年経ったあと、俺はいま目的に向かって動いている。
ー禁忌を調べ、この世界の秩序を変えるー
両親が悪事を働くというのは考えられなかった。
きっとこの世界に必要だと思ったから禁忌を犯すようなことをしたのだと確信している。
だからこの目的を達成するまでは……。
どんなに綺麗に見える空や星でも必ず最後には消えてなくなる。
永遠に続くなんてものはこの世にはないのかもしれない。
少なくとも俺は永遠に続くものなんて見たことも聞いたこともない。
だから、みんなが今幸せであるように。
できるだけ長く幸せが続くように。
未来の人たちまで長く長く。
いつまで続くかわからないけど最期にみんなが幸せだったと言える世界を作りたい。
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