Aster-Answer

黒猫B

第1話

目覚めなさい。


「…うーん」


目覚めなさい、優斗。


「おあ?」


目覚めなさ―――い!!


その瞬間、俺はベッドからがばっと起き上がった。

なにやら脳内で大声が響き渡った気がしたのだ。


窓からは一日の始まりを告げる朝日が燦燦と差し込んでいる。

俺は頭をポリポリと掻きながら、寝ぼけ眼を正面に向ける。


「…夢か」


あくびをしながら、体を倒そうとすると


『目覚めろって言ってるでしょーが!!』


やはりさっきの声が脳内に響き渡る。


「誰だよ、こんな朝早くによ」


俺はごしごしと目をこすりながら、自分の部屋の周囲を見渡す。

しかし、誰も人はいない。

俺は不思議に思い、首を傾げていると


『こっち、こっち!』

再び先ほどの声が脳内に聞こえた。


俺は声の方に目を向ける。学習机の上に飾ってあった一輪の青いアスターが目に入った。


「えっ?」

俺は驚きながらそろそろとアスターに近づく。

そして枯れ始めているそのアスターに恐る恐る指を近づけた。


『やめ、やめなさい。くすぐったいでしょ。その指をどけなさい』


俺はその声を聴いた瞬間、口角が自然に吊り上がるのを感じた。

そしてつんつんとそのアスターをつっつく。


『やめ、やめなさーーい!』


俺はげらげらと笑いながら、やっとこさ指を離した。

笑いすぎたからか、目の横には涙が浮かんでいる。


「はは、どうなってんだよ」


俺は今、目の前で起きていることがにわかには信じられない。


その声の主は、先月亡くなった母の声だった。





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