青い花
名島也惟
part.1
「あなた……」
ん? アリシア、何か言ったか?
また恋人の声が聞こえた。もういない筈なのに。
恋人だったアリシアを亡くして、もう五十年くらいは経つ。正確に言うと、五十二年四ヶ月十四日四時間は経過している。時間についての記憶は細かい事は残されていない。おそらく、そこまでの記憶は必要とされていないのだろう。
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