174話 迫りくる狂気

 読者の皆様へ:今更ですが、明けましておめでとうございます!!更新遅れて申し訳ありません。仕事がようやく落ち着きました。お知らせです。176話から新章突入となります!



 ★☆★☆


 休日の朝。


 人通りの多い道を歩きながら、雫はとある場所へと向かっていた。


「大丈夫かな?絶対修羅場になったよね。可哀想なおにぃ」


 その途中でスマホを取り出し、狂歌達に送信した写真を見てそう呟く。


「敵だらけの状況で、私だけが唯一の味方になれば....」


 想像したのか、思わずその場でクスリと笑う雫。


「おにぃは堕ちてくれるのかな?」


 その口はいびつに歪み、顔は狂気に染まっていた。


 目的地まで、あと数分となったその時ー


「キミ可愛いね!スタイルやば!」


「今暇かな?遊びに行かない?」


「すっげータイプ。今ドキッと来たわー」


 チャラい格好をした男3人組が雫に話しかけてきた。


「・・・・」


 突然の邪魔者に雫は内心でイラつく事となる。


「えー。無視しちゃう感じ?」


「つれないなー」


「いいだろ?なぁ行こうぜ?」


 その後も、雫は無視を決め込むが、男たちは何度もしつこく迫ってくる。


「邪魔。さっきからしつこいんだけど」


 付きまとってくる男たちに、雫がウンザリとした様子で一言だけ告げるとー


「あ?」


「お高くとまってんじゃねーよ!」


「調子に乗ってんじゃねーぞ。アマ!」


 激昂した様子で3人は雫を囲み始めた。


 人通りの多い中で、雫たちは注目を浴びる事となる。


「時間が無いから、ちょっとだけだよ」


「お?」


「分かってんじゃん!」


「お持ち帰りー」


 雫はため息を吐きながらそう言うと、3人は表情を一気に変え、優しく接して来るようになった。


「なぁ何処に行く?」


「カラオケは?個室だし行けるっしょ」


「いやワンチャンホテルの方が良いよな、なんちゃって!」


「裏道から行った方が早いよ」


 下心が見え見えな3人の会話に、雫は裏道から行くように言った。


「お?何々乗り気じゃん!」


「良いねキミ!」


「マジか最高じゃん!」


 何も知らずにナンパが成功したと勘違いした3人は、雫に連れられ、裏道の闇へと消えていくのだった。




 ★☆★☆


「ふー。スッキリした」


 、スッキリとした表情を見せる。


 目的の場所にはアッサリついた。


 その場所とは、シンジ達の住む家である。


「上手くいきますように!事前に遊びに行っても良いって約束したし、大丈夫だよね?」


 ポケットからを取り出し、鍵口に差し込む。


 鍵を捻るとガチャリと音をたてて、ドアが開いた。


「良かった。おにぃが寝てる間に型を取っておいて!」


 ことが上手く進み、ホッと息を吐くシズク。


「お邪魔しまーす。おにぃいる?」


 声を掛けるが、誰からも返事が返ってこない。


「狂夜ちゃん達が修学旅行でいない事は知ってたけど、もしかして奥さん達が出て行ったのかな?」


 雫はその場で予想を立てた。


「今頃部屋で一人寂しくおにぃが泣いているのかな?だとしたら今が千載一遇のチャンス!!」


 ハッとなって気付くと、雫は急いでシンジの部屋へと向かう事にした。


「いない!ここにもいない!」


 手あたり次第にドアを開けるが、誰一人として居ない。


「ん?なにこれ.....」


 寝室のドアを開けた時、雫は妙なものを発見した。


「亀裂?どうなっているの?」


 それは、時空を跳躍した時に発生した空間の亀裂だった。


 雫は興味本位でそれに触れるとー


「きゃああああああああ!」


 その場で眩い光が発生するのだった。




 ★☆★☆


 薄暗い裏路地では、3人の男が息も絶え絶えの状態で地面に寝っ転がっていた。地面には3人の歯が全て抜け落ちており、全員が涙を流している。


「ゆるひへ(許して)」


「たすへへ(助けて)」


「いはい。いはいお(痛い。痛いよ)」


 所々内出血を起こし、皮膚が青黒く変化していた3人は、薄暗い裏路地の中で、黒髪の美少女をナンパした事を後悔するのだった。

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