148話 バグったステータス

 土煙で充満する視界の中でー


「ハァハァ......や、やったかしら.....」


「きょ、狂歌ちゃんそれは!」


「フラグです!」


 数メートル先から狂歌達の声が聞こえていた。


 心なしか疲れているように見える。


 きっと”覇気”と魔力の使い過ぎの影響だろう。


 てかこれ、いつの間にか俺を殺す気でやってないか?


 ふと、そう考えてしまう。


「酷いなマスター。私を盾にしようとするなんて」


 右手に握ってある、エレナの分身体が喋った。


 怒っている様子はなく、すこしおどけている様だった。


 3人の必殺技を、足止めしていたエレナで盾にしようとしたが失敗した。


 直ぐに察知され、エレナに分裂させてしまったのだ。


 おかげで直撃を喰らう羽目になった。


「まぁまぁ痛かったぞ」


 土煙を払し、エレナの分裂体を狂歌達の方に向けて投げる。


「うそ...」


「無傷!?」


「強すぎます!」


 すると驚いた顔でこちらを見てきた。


 俺が無傷である事に驚いているようだ。


 実際、無傷だった俺自身が一番驚いているんだがな・・・


 やはり■□に進化した影響だろうか。


 投げた先にエレナの分裂体が集まり1つとなる。


「3人とも疲れてるから、私が致命傷を与えられるチャンスが増えたね!」


 なるほど。そういうことか。


 エレナが戦闘に全く参加していなかったのは、狂歌達がどうせ致命傷を与えられる訳が無いと思っていたからか。


混沌カオス


 両手に禍々しい魔力を纏うエレナ。


 紫色のような液体が地面に滴り落ちれば、ジュッと音を立てて溶けていた。


「じゃあ行くよマスター」


 そう言うとエレナは急接近して、攻撃を仕掛けて来た。


「せい!はっ!そや!」


 殺す気は無いだろうが、攻撃を喰らったら致命傷になり得るだろう。


混沌粉砕カオスブレイク!」


 攻撃を右に避けると、後ろにあった山が消失した。


 マジか・・・


 これは本気で夜伽の相手を狙ってきているな。


 狂歌達以上に本気で攻めてくる。


 俺は全ての攻撃を躱し、エレナに反撃しようとするとー


「負けてられないわ!」


「うちも頑張る!」


「兄さんは私の物です!」


 横から狂歌達が参戦してきた。


 すかさず防御の構えを取り、4人の攻撃をさばいていく。


血之拘束ブラッドバインド!」


 このまま決着がつかないようであれば、俺の勝ちとなるだろう。


白猫魈シロネコショウ!」


 しかし、4人同時は初めてだぞ・・・


九尾之一撃ナインブロー


 上手くやれるだろうか・・・


「混沌喰い《カオスイーター》」


 いや、頑張るしか無いだろう。


 今夜の事を【並列思考】で考えつつ、俺は狂歌達の必殺技を、時には躱し時にはガードして防いだ。


「このままじゃ埒が明かないわね!」


 狂歌がそう言うと、顔を見合わせる3人。


「「「「限界突破ァ!!」」」」


 数瞬後、息を合わせたかのように4人は発動させてきた。


 そろそろ”覇気”とか使うべきだろうか。


 んー、まだ大丈夫そうだな。


 悩んだ末に、俺は危なくなったら使おうと決めたのだった。



 ★☆★☆


 ???時間後


「カハッ。も、もう無理かも.....」


 過激な戦闘があったと思われる場所で、エレナは地面に膝をつき、疲労で倒れそうになっていた。


「た、立てないわ....」


「うちも.....」


「動けません.....」


 狂歌達は既に魔力を使い過ぎたのか、立てないほど疲労困憊している。


 首を動かすだけで精一杯のようだった。


 限界突破の使い過ぎによる影響だろう。


 リミッターが外れる分、長時間使い過ぎると暫く動けなくなるからだ。


「う....うそ....こんなの見たことない....」


 シンジが狂歌達の様子を見ていると、目を見開き驚いた顔を見せるエレナ。


 あまりにもビックリした影響か、自分でも表情の変化に気づいていない様子。


「こん....なの.....歪すぎる....」


 シンジが気付いた頃には、目を光らせたエレナが【鑑定】の能力を使用していた。


 疲労で気絶する寸前、エレナの最後の視界に映ったのはー



「名ma*」a◆ヤ#6aegシ)!」

「ne◎ 零」3ビャ●pヲ

「レ邊r!」 △鵡%?㿗虞

「at威e Q」現神

「種zお玖」Religion

「夛慮¿‼」ソqGあ!蛇(+邊!圃rs)

「〇ジe9a」6rⓦ梧nォ(+思e■場r)

「菟z戊%」ろn78思ワ;(+2弩r&?)

「42唹pゑ」wo11&啞(+v傃こruあ)

「?{7$」唹あ&6x(+ð7%rお@)

「裳ヴェç」error

「菟ア35s」<頂・ホsyoく者>



 歪に表示されたステータスだった。

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