149話 現神

 読者様へ:最終章あと数話で完結。番外編もあるので是非。


 ★☆★☆


 魔界で戦闘した後、全員を担ぎ上げて新たな家へと戻った。


 全員が本気で掛かってきたが、ほぼ無傷で済むとはな・・・


 その結果に自分でも少し驚いてしまう。


 流石はだ。


 特定の条件を満たし、強制的に進化しただけの事はある。


 ていうか、


 未だに現実感が湧かないが。


 まさか、信じていなかった架空の存在になるとはな・・・


 こういう時、どういった反応をすれば良いのか分からんな。


 なんて考えていると、狂歌達はうめき声をあげ始めた。


「ごめんなさい.....あなた......」


「うぅぅ.....」


「兄さん.....」


「マスタ.....うぅ....」


【限界突破】を長時間使った影響で、肉体が悲鳴を上げているのだろう。


 疲労により、うめき声をあげながら狂歌達はベッドに眠っている。苦しそうだ。


 なんとか楽にしてやれる事は出来ないだろうか。


 思い出せ、何か便利な能力はないか。俺は顎に指先を乗せながら考える。


 ん!?


 そう言えば!


 俺は、頭の中でピンと閃くものがあった。


 そう言えば、こういう時に使えそうな魔法があったな。


 頭の中の片隅で、探し求めていた能力を思い出す。


 そう。この間習得した魔法。【神聖魔法】だ!


 これなら何とかなるかも知れない。


 そう期待を込めて、俺は早速全員に唱える事にする。


「神聖魔法ー完全回復パーフェクトヒール


 すると狂歌達の身体が突然光り輝いた。


 効果があるのか、荒い呼吸でうめき声をあげていた狂歌達の呼吸が徐々に安定する。


 数秒後には、神聖な光が役目を果たしたかのように消えた。


 見れば、容態の安定した狂歌達がいる。どうやら成功したみたいだ。




 ★☆★☆


 数十分後


「あ、あら?どうして....」


 最初に目覚めたのは狂歌だった。


 それを皮切りに、側室が次々と目覚めていく。


「本当だ。ここどこ? ってあれ?疲労感が無い」


「ほ、本当です!全快してます!」


 そして身体を確認するかのように、恐る恐るベッドから全員が起き上がってきた。


「マスターが治してくれたの?」


 勘が鋭いのか、それともただの質問なのか、エレナがそう訊ねて来た。


「まぁな。今回は回復したから良かったものの”限界突破”は無暗に使うなよ」


 だから俺は注意した。


「気絶するまで使って身に染みただろ?寝言を言ってる時、物凄く苦しそうだったぞ。身体を壊したらどうするんだ」


 もうあの苦しそうな姿は見たくなかったから。


「分かったわ」


「うん」


「はい、兄さん」


「了解、マスター」


 反省したのか、4人はシュンとなった。


「ああ、そういえば」


 俺が話を切り出すと、頭上に?マークを浮かべる4人。


 まだ何かあるのかと、少しビクついていた。


「俺が勝ったら、全員まとめて相手するって事になってたよな?」


「「「「あ.....」」」」


 そう言うと、4人は顔を赤らめるのだった。




 ★☆★☆


 夜


「あ、あなた凄いわ///」


「そ、そこはダメー///」


「んぁあああああ。兄さん///」


「マスター。おかしくなっちゃうよぉおおお///」


 なんて、声が外に漏れるハズも無く。


 防音がきっちりと施された家で、俺は全員の相手をした。


「あなた、あなた。えへへ」


「うちも好き~」


「兄さん。駄目ですよ~」


「マスターとずっと一緒~」


 全員疲れたのか、今はスヤスヤ眠ている。


 嫁たちの寝言を言ってる姿も可愛かった。


 なにがあっても、今度こそは守ろう。俺は静かにそう決めたのだった。




 ★☆★☆


 それから、嫁たちと過ごす日々はとても充実してた。


 そんなこともあり、日々はあっという間に過ぎていくのだった。

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