142話 取引

 読者様へ:お待たせしました。


 ★☆★☆


「よし、そこだ!」


 俺は今、パソコンの画面を見ながら、予想通りに上昇した株を見て喜んでいた。


 俺はホテルから出た後、直ぐに爺さんから貰った小切手を、銀行で変えてきた。


「ごごごごごごご五億ですか!?」


 と引き出す際に職員に驚かれた。その大きな声に、案の定注目が集まる。


「.....強盗か?」


「それにしては若いな.....」


「高校生だろ....あんな大金どこで.....」


「生涯年収.....」


 周りからはヒソヒソと噂をされたな。


 まぁ、何とかなったから良いが・・・・


 家に帰ったあと、母名義でこっそり口座を作ってもらう事にした。


 投資や、FXなどをする為だ。


 父さんに言ったところで、どうせ止められる。


 何より、父さんに成功する根拠を1から説明をするのが面倒なのだ。


 未だに人外である事すら教えていない。


 だったら内緒でやろうと決めたのだ。


 それに、引っ越しをしてメリットがあるのは母さんも同じだ。


 俺達が引っ越せば、父さんと家で人目を気にせずイチャイチャ出来るのだ。


「グ....グレンと.....2人っきり......イチャイチャ.....」


 取引を持ち掛けて説明をすると、直ぐに母さんは協力してくれた。


「....ぐへへへ......じゅるり....」


 あの時の母さんは、危ない目をしていたが大丈夫なのだろうか。


 父さんの身が心配だ。そして母さんが意外と肉食だったことに驚く。


 この調子ならすぐに2人目も出来そうだな。


 まぁ早くて1年後だろうが・・・・


「よし。今度はこっちの株だ」


 おっといけない。【並列思考】が無かったら今の見逃してたぞ。


 俺は、すぐに買うべき株や証券を大量に購入した。数日後には倍で売れるからな。


「”未来視”最強だな」


 その後も俺は”不眠不休”でやり続け、朝までには2億を稼いだのだった。




 ★☆★☆


「ふはははははははは」


 登校ギリギリまでパソコンと”にらめっこ”をしているとー


「マスター、昨日の夜から何をしてるの?」


「兄さん?もう学校ですよ?」


 エレナとサラに、後ろから声をかけられた。


 2人共、なんで笑っていたんだろう?と不思議そうな顔をしていた。


 うむ。狂喜してた所を見られるとは・・・


 恥ずかしいな。


「ああ、悪い。もうそんな時間か」


 パソコンを閉じ、俺はすぐに支度をする事にしたのだった。




 ★☆★☆


「それで、兄さんは一晩中何をしていたんですか?」


 家を出た後、3人で仲良く登校していると直ぐにサラに聞かれた。


「マスター。私も気になる!」


 便乗してエレナも訊ねてきた。


「投資していたんだ」


 正直にそう言うと、サラは驚いた顔をする。


「え、投資ですか?急にどうして.....」


 何故、急に始めたのかと疑問に思っている様だった。


「え!マスターしてたの?エレナに言ってくれれば、直ぐにでも脱いd-」


「おい!」


 俺は脱ぎ始めようとしたエレナを取り押さえた。


 外で脱ぐとか何考えんだ!


 念の為、すぐさま周りを見渡すが、誰も居ない。


 良かった・・・・


 変な噂が立つと困るからな。内心でホットため息とついた。


 それにしても、エレナが”投資”と”透視”を間違えるとはな。


 内心俺はそう思ったが、エレナまだ人間界に来て数日しか経っていないのだ。


 知らない単語もあるのだろう。魔界にはお金が無いからな。


「違うからな。そっちの透視じゃないぞ。金の方だ。金を稼いで引っ越しをしようと思ってたんだ」


 俺はエレナに、ゆっくりと言い聞かせた。


「引っ越すの?」


「ああ、俺達5人で暮らすんだ」


 すると、すかさず聞いてくるエレナ。


「本当ですか、兄さん!」


 俺の説明に、サラは喜ぶのだった。

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