130話 ■□の資格

 読者様へ:連休中に完結させるとか言ったのに、完結できませんでした。すみません!でも投稿頑張ったので許してください。


 ★☆★☆


「これが最後だ」


 狂歌達を引き連れ、転移で最速巨獣狩りを行った。


 俺とエレナで押さえつけ、狂歌達に攻撃をさせるだけで、あっという間に戦闘が終わったのだ。この戦法で”青龍”と”玄武”はすぐに死んだ。


 うん。なんかあっという間だな。最速進化じゃないか?これ。


 俺とエレナは、長い年月をかけて進化したのにな。


 ジーっとエレナが横から見つめてくる。


「なんかズルくない?これって良いの?マスター」


「・・・・・」


 巨大なスライムが話かけてくる。


 ヤメロ。そんな目で俺を見るな。こうでもしないと狂歌達が納得しないだろ!


 俺は朱雀戦も最速で終わらせる事を決意した。




 ★☆★☆


 大火山に転移し、火山口まで全員で登るとー


「夢なんかじゃなかったー!」


 とか言いながら朱雀が飛び出してきた。


「きゃ!」


「なに!?」


「え?」


 可愛い声を出しながら驚く3人。人間の姿であれば可愛いと思うのだが・・・


 生憎と今の姿は巨獣だ。見た目が見た目なだけに、素直に喜べない。


 狂歌なんかドラゴンだからな。可愛い要素ゼロなんだが・・・


 さっさと頭の狂った朱雀を殺して、人間界に帰ろう。


不死鳥之一撃フェニックスストライク


 上空へと羽ばたいた朱雀が、炎を纏って落下してくる。


 あれは喰らったらヤバいぞ。強烈な一撃だからな。当たったらシャレにならん。


 だから俺はー


「時空間魔法-『静止時間アブソリュートタイム』」


 俺達以外の


 攻撃モーションの途中で、固まったように空中で動かなくなる朱雀。


 成功だ。もう朱雀は動けないだろう。ただのオブジェクトのように、なってしまったんだからな。


 一瞬で大量の魔力を持ってかれ、頭痛と眩暈を起こす。


 だが、【無限魔力】で直ぐに魔力が回復し、すぐに不調が治った。


「よし、今だ。やれ!」


 今が攻撃するチャンスだと、俺が3人に呼び掛けるとー


「え....ええ....」


「そ....そうだね....」


「す.....凄い.....」


 本日何度目かの唖然した表情を見せる狂歌達。数瞬後には、行動を起こしていた。


 朱雀は、上空から狂歌に叩き落され、美香とサラの3人にタコ殴りにされる。


 朱雀はもう終わりだ。時が止まっているからな。蘇生魔法も発動しないだろう。


「卑怯とは言わせんぞ。あはははははははは」


「ズルくない?ねーこんなのアリなの?ねーマスター?」


 その場で悪い笑顔を浮かべて笑っていると、エレナにジト目を向けられるのだった。




 ★☆★☆


 数分後


「ハァハァ......終わったわ......」


「意外としぶとかったね.....うち疲れたよ......」


「そうですね.....ハァハァ.....終わりましたよ兄さん.....」


 朱雀の身体が意外と硬かったようで、3人ともトドメを刺すのに苦戦していた。


 倒し終えた朱雀の死体を、4人で分ける狂歌達。


 狂歌、美香、サラ、エレナの全員が【蘇生魔法】を習得することに成功した。


 全員死んでも生き返る身体となった。これでもう安心だ。


 この中で誰かが死んだとしても、1人さえ生きてさえいれば、何度でも復活出来るのだから。まぁ大量に魔力を消費するがな・・・・


 その場で腕を組み、考えているとー


「あなた。ちょっといいかしら」


 後ろから狂歌に声をかけられた。


「どうしてこんなズルい方法をしてまで、私達を進化させたの?」


 狂歌の質問を黙って聞く美香とサラ。聞きたそうな顔をしている事から、疑問に思っているのは明白だった。


「だって。お前らが俺の傍から離れようとするからだろ。」


「「「あ......」」」


 今更になってようやく気付く3人。遅すぎだ。


「お前らが、”あなたの隣にいる資格”なんてないとか言い出すわ。魔界で進化するまで帰ってこないとか言い出すわ。」


「「「・・・・」」」


 思い当たる節があるのか、顔を下に向ける3人。


「実力差?階級差?そんなの俺が気にする訳ないだろ。俺が300年間どれだけ想ってたと思ってるんだ。」


「もう一度会いたくて、途中で何度も挫折しそうになって、何度も頭が狂いそうになった。それでも何とか頑張れた。お前たちに会いたいとずっと思っていたから。」


「何が不満なんだよ。せっかくまた一緒になれたと思ったのに。戦いなんて気にせず、平和に暮らしたって良いだろ。」


「確かに、エレナはお前たちより強かった。だが、強さが全てじゃないだろ!」


「「「ッ!」」」


 言いたいことを、3人に言ってる内にー


「俺は.....お前らが居ないとダメなんだ.....分かってくれよ....もう二度と離れるなんて言うなよ.....」


 気付けば


「ごめんなさい、あなた。私は、あなたとエレナちゃんの関係に嫉妬してたみたい。」


「うちもごめん。嫉妬してそんな簡単な事にも気づかなかった」


「兄さん。泣かせてしまってすみません。もうそんな事は言いませんから!」


 思っていたことを全て吐き出すと、慌てて抱き着いてくる3人。


「もう.....もう一生.....俺のそばから離れないか?....」


「ええ、もう離れないわ!」


「うちも、離れないから!」


「ずっといますよ。兄さん!」


 そう問いかけると、離れないことを宣言した3人。


 目から出た水を服の袖で拭けば、3人から見えない位置で


『悪い人だねマスター。水魔法で涙を出したように見せるなんて』


『しょうがないだろ。何年生きてると思ってる。もうとっくの昔に涙は枯れてんだよ』


『こういうのクズって言うんだっけ?』


『おい、それ絶対違うからな!』


『それにしても、演技上手だねマスター。』


『いや全部本音だが?ここで涙を流しておけば効果的かな?って思っただけだ。』


『いいなー。3人には言ってエレナには言ってくれないの?』


『俺のそばから一生離れるなよ。分かったか?』


『うん。大好きマスター』


 エレナとは全て念話で会話をした。


「狂歌、美香、サラ、ありがとう。分かってくれて嬉s-」


 ドクン ドクン ドクン


 言いかけた所で、唐突に心臓に痛みが走った。


「あなた!?」


「シンジ君!?」


「兄さん!?」


「マスター!?」


 まさかの予想外の出来事に、慌てて駆け寄ってくるエレナ。


 し....心臓が.....か.....身体が熱い....


 ドクン ドクン ドクン ドクン


 速くなっていく心臓の鼓動に、加速度的に広がっていく謎の痛み。


 『巨獣4体の服従を確認。■□の資格を所持。進化条件のクリアを確認。これより強制進化を行います』


 それに、聞こえてくるこの声。これは幻聴なのだろうか?


 身体が作り変えられていくような感覚に襲われながら、俺は気を失うの事になるのだった。

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